宇都宮市のビジネスツアーというものに参加してきました。宇都宮市の最先端の都市計画の取り組みやGX戦略について、いろいろご説明いただいたり、見学させていただいたので、その際の学びをここに残したいと思います。宇都宮LRT(ライトレール)についてまず宇都宮駅に到着して見えてきたものが、このLRTでした。今では、「宇都宮市の取り組みといえば..」真っ先に出てくるもののようですね。「低床を実現するために、本来は地上に配置されるバッテリーなどが、上の配線部分に設置されているんだよ。」と真っ先に紹介していただきました。確かによく見るとものすごく低い位置を走行しているなと。そして、LRTの車両基地を見学させていただきました。今では他の自治体や海外からの視察もあるようで、バスのツアーガイド並みに案内がお上手でした。宇都宮のLRTは全国から注目されている証ですね。「ゼロカーボントランスポート」と言って、家庭ごみの焼却や家庭用太陽光などで発電された地域由来の再生可能エネルギー100%で走行しているとのことでした。「すごい。。」再生可能エネルギー100%であると共に、"地域由来"であることが重要視されるようですね。運転席に乗せていただきました。電車好きならたまらないのでは?totraという地域独自のICカードがありましたhttps://www.ic-totra.jp/Suicaに加えて、地域のバスの定期券や乗り継ぎ割引機能を搭載したtotraというICカードがあるみたいです。私の疑問として「なぜどこの地域も独自のICカードを作るのだろうか?」というものがあったのですが、SUICAだけでは地域のバスの定期券機能や乗り継ぎ割引を実装できないようです。ちなみにこのICカードをモバイルSuicaに載せることも可能なようですが、莫大な費用がかかるようなので、なかなか実現は難しいようです。清原工業団地について内陸型の工業団地としては国内最大級の面積があるようです。広大な敷地が綺麗に区画整備されていました。想像していた10倍くらい綺麗で整備された空間だなぁと感じました。敷地内にグリーンベルトという緑化領域が用意されていました。この写真はライトラインから撮影したグリーンベルトです。工業団地内の一定面積以上は緑地にしないといけないという規定があるようで、グリーンベルトがその役割を果たしているとのことでした。宇都宮市側でグリーンベルトを用意しないと、入居企業側で緑地を用意しなければならず、生産効率が落ちてしまうということに対して配慮をしているそうです。工業団地のエネルギーマネジメントについて東京ガスさんが中心となり構築されたSENEMS®というエネルギーマネジメントシステムが使われているとのことでした。https://www.tokyogas-es.co.jp/case/factory/kiyohara.html より引用このエネルギーマネジメントシステムができた背景には東日本大震災の影響があったようです。震災後、工業団地での電力供給が一時ストップしてしまったということがあり、独自で電力・ガスを供給できる仕組みを作らねば..ということで開発されたもののようです。当時は東京ガスさんが関係各社との交渉を進め、なんとか実現させたという苦労話もありました。宇都宮の工場が本社でないケースが多く、それぞれ本社に問い合わせるというコミュニケーションコストがかかる交渉だったようです。SENEMS®は、今では魅力的なエネルギーマネジメントシステムとなっており、このシステムに加わりたい企業が出てきているようですが、後からは参加できないというのが現実問題としてあるようです。開発当初に関係各社の負担分や利権の交渉などがあったため、後乗りしたいと言っても、その利権の調整が煩わしく、参加が困難なようです。技術的に解決できる問題でも、会社間での別の調整事項が発生することもあるんですね。こういうエネルギーマネジメントシステムは最初から整備できればベストなのですが、エネマネを必要とする企業が絶対に入ってくるかと言われると、そうでもないようで。。決め打ちでの整備も難しいが故に、工業団地全体でのエネルギーマネジメントを実現するには困難が多そうだなと感じました。脱炭素先行地域としての取り組みについて宇都宮市は脱炭素先行地域に選ばれており、その上で行なっている + 構想段階のさまざまな取り組みをご紹介いただきました。ゼロカーボンスクール宇都宮市の「ゆいの杜小学校」は実質ゼロカーボンで運営されているとのことでした。校舎の屋上にて太陽光発電を行い、足りない電力に関しては宇都宮市で創出されたカーボンクレジットを利用し、実質ゼロカーボンを達成しているとのことでした。「どこで創出されたのかカーボンクレジットなのか」が重要視されるケースを目の当たりにしました。カーボンクレジットを取引所を運営する企業の1人として、カーボンクレジットの創出背景もクレジット価格に反映されていくのだろうな..と感じました。この小学校については、宇都宮市のこちらの記事でも紹介されていました。https://www.city.utsunomiya.lg.jp/kurashi/kankyo/1034537/1030209/1030216.htmlバス配送EMSグリーンイノベーション基金(NEDO)を使用して、関東自動車株式会社が保有するバスの310台のうち、158台を2030年までにEV化する予定という話を伺いました。そのバスたちはEMSにより、充電タイミングなどの最適化制御が行われるとのことでした。バスが運行していない夜間に、全車両の充電を行おうとすると、給電施設がより多く必要になるため、日中からバランスよく給電する必要があるようです。以下の記事の内容なのかな。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000045067.html最後に宇都宮市の取り組みを現場での説明を交えながら体感することができました。各地方自治体が感じている課題感、重要視する観点などを押さえていくことが、民間企業の1人として大切だなと実感したツアーでした。また次回のレポートをお楽しみに。