はじめにこんにちは!サステナ編集部です!本日はセブンイレブンで一部導入されている要塞レジについて解説したいと思います!カスタマーハラスメント対策など、今回はESGへの影響にも触れていくので是非ご覧ください!要塞レジとは?最近、一部のセブン-イレブン店舗で見慣れないレジの光景に驚いた方もいるかもしれません。そう、店員さんの周りに透明なパネルが設置され、まるで*「要塞」*のように見えるレジのことです。この「要塞レジ」は通常のレジとは一線を画す防犯システムで、強盗などの不審者対策として開発されました。具体的には、レジカウンターに高さのあるパネルや仕切りを設置し、不審者がおいそれとカウンター内に乗り越えて侵入できない構造になっています。言ってみれば、店員さんのいるカウンター周辺を小さな要塞のようにガードしてしまおうという発想なのです。さらに深夜帯には店舗入り口の自動ドアも通常とは異なる運用になります。夜間は自動ドアをロックダウンし、店員がリモコン操作で必要に応じてドアを開け閉めする仕組みが導入されています。これにより、深夜に怪しい人物が不意に店内へ押し入ることを防ぎ、店員さんの安全性を高めています。つまり、お客さん側からすると深夜にコンビニへ入る際、一旦ドア越しに店員さんに来店を認識してもらい、リモコンで解錠してもらう必要があるわけです。少し驚くかもしれませんが、安全のためのひと手間といえるでしょう。要塞レジにはハード面だけでなくテクノロジー面の工夫もあります。たとえば店員さんが小型の装置を身につけることで、“異常事態”を検知するシステムが組み込まれています。万が一店員さんが倒れたり動けなくなった場合、一定時間動きがないと自動的に警備会社(ALSOKなど)へ通報が行く仕組みになっているのです。これは従来のレジにはない、まさに最新の安全対策と言えます。銀行の窓口のような防弾ガラス+緊急ボタン…とまではいかないにせよ、コンビニとしては異例なくらい物々しい装備ですね。とはいえ、普段お店を利用する私たち一般消費者にとっては、「レジ周りが少し変わったかな?」程度で、買い物自体の手順が大きく変わるわけではありません。お会計自体は従来通り店員さんが対応してくれますし、商品を受け取る時もパネルの隙間越しにやり取りするイメージです(まるでコロナ禍でビニールシート越しに対応していた延長のような感覚かもしれません)。要塞レジのポイントをまとめると次のようになります。レジカウンターを囲う防犯パネル: 店員スペースを囲む透明パネルで、防犯体制を強化。不審者がカウンター越しに侵入できない高さと構造。深夜は入口ドアをリモート管理: 深夜帯には自動ドアを常時ロックし、来店者がある時だけ店員の判断で開閉する仕組み。店員の安全センサー: 店員が装着する小型デバイスで異常を検知。一定時間動きがない場合は自動で警備会社に通報。*「セーフティガードシステム」*という名称: 実はこの要塞レジ、防犯システム全体の正式名称は「セーフティガードシステム」と名付けられているそうです。7-イレブンの親会社セブン&アイHDが大手警備会社ALSOKや住宅設備機器メーカーのLIXILと協力し、約3年かけて開発した新防犯システムになります。ぱっと見は「物々しいなあ」と思うこの要塞レジですが、いったいなぜセブン-イレブンがこんなシステムを導入し始めたのでしょうか?次でその理由を探ってみましょう。要塞レジ導入の理由は?セブン-イレブンが要塞レジ(セーフティガードシステム)を導入し始めた背景には、いくつかの狙いと理由があります。大きく分けると「防犯対策の強化」「従業員へのハラスメント防止」「人手不足への対応」の三本柱と言えそうです。それぞれ紐解いてみましょう。1. 強盗など犯罪への防犯強化: まず真っ先に思いつくのは「強盗対策」ですよね。コンビニ強盗はニュースでも時折報じられますし、夜間のコンビニは狙われやすいイメージがあります。実際、日本全国のコンビニ強盗件数はここ最近減少傾向にはあったとされていますが、それでも*「万が一」に備える防犯意識は年々高まっています。「強盗被害ゼロを目指す」ために、セブン側もできる限りの手を打とうとしているのでしょう。要塞レジの堅牢な作りは、犯人がカウンター内に侵入して店員を脅したりレジのお金を奪ったりするリスクを物理的に下げます。また、深夜に店員さんが一人の時でも入口を勝手に入らせないようにできるので、「店内に押し入られる」事態自体を減らせます。実際に要塞レジを設置した店舗では、その威圧感からか犯罪抑止効果*が期待できるとの声もあるようです。2. カスタマーハラスメント(カスハラ)防止: 強盗のような明らかな犯罪でなくとも、お店の従業員がお客さんから受ける困った行為は少なくありません。理不尽なクレームで怒鳴られたり、商品を投げつけられたりといった「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題化している側面もあります。セブン-イレブンが要塞レジを試験導入した背景には、このカスハラ対策の狙いもあると指摘されています。透明パネルで物理的に区切られていることで、お客からの直接的な暴力や威圧を受けにくくなる効果が期待できます。実際、「店員とお客の間に壁があると、怒鳴り散らそうという気も少しは削がれるかも…?」という見方もあり、ある種の威圧感がクレーマー抑止に効く可能性が指摘されています。また、深夜のコンビニは酔っぱらった方や気性の荒い方が来店するケースもありますよね。そうした場合でも、最初から店員さんとの間に仕切りがあるだけでトラブルを回避できることもあるでしょう。言葉の暴力も含め、従業員を守る盾として要塞レジが機能すると期待されているのです。従来、「お客様は神様」と言われる接客業ですが、近年は従業員の安全やメンタルヘルスもちゃんと守られるべきという考えが広がっています。顧客サービスを優先しすぎて従業員の安全や健康が二の次になるようでは本末転倒です。要塞レジ導入には、そうした職場ハラスメントからスタッフを守る目的もあるわけですね。3. 人手不足・ワンオペ対策: そして忘れてはならないのが、人手不足への対応です。コンビニ業界は慢性的な人手不足と言われ、とくに深夜帯に十分な人数を確保するのが難しくなっています。セブン-イレブンでも、店舗によっては深夜は店員1名(いわゆるワンオペ)という状況もあります。しかし本来、夜中に一人きりで接客・品出し・清掃…となると、防犯面で不安が大きいですよね。そこで要塞レジの出番です。要塞レジなら店員が一人でも安全に業務をこなせる環境を整えられるという発想です。実際、要塞レジのシステムには前述のように店員の異常を検知するセンサーがありますし、何かあればすぐ警備会社に通報もできます。また入口管理で不審者の出入りも制限できるため、一人勤務でも安心感が違います。セブン&アイHDによれば、この新防犯システム(要塞レジことセーフティガードシステム)は最初から「ワンオペ」(一人勤務)状況を念頭に置いて設計されたそうです。店員が複数いればお互い異変に気付けますが、一人だとそれができません。だからこそ機械の力で店員さんの「もしも」に備えているのですね。深刻な人手不足に直面するコンビニ業界において、「人が足りないなら機械と工夫で安全をカバーしよう」という苦肉の策とも言えます。このシステムのおかげで、従業員を増やせない夜間も営業を続けやすくなる(=お店を閉めずにすむ)という経営上のメリットも期待できます。以上のように、防犯・ハラスメント・人手不足という三方向の課題に対するソリューションとして要塞レジは導入されているわけです。「お店を守る盾」であり「店員さんを守る盾」というわけですね。では、実際に導入されたお店や現場からはどのような声が聞こえてきているのでしょうか?次で現状と課題を見てみましょう。要塞レジ導入の現状と今後の課題セブン-イレブンがこの要塞レジを本格的に導入し始めたのは最近のことです。まず現状として、まだ全国のごく一部店舗での試験導入段階だという点を押さえておきましょう。セブン&アイHDによれば、現時点(2025年2月時点)で約50店舗にこのシステムをテスト導入しているとのことです。全国のセブン-イレブン店舗数は2万店以上ありますから、まだ本格展開というよりは「実験的に効果を検証している段階」と言えます。ALSOKやLIXILと3年かけて開発したシステムだけに、まずは限られた店舗で運用し、不具合や課題を洗い出している最中なのでしょう。店員さん・お客さんの反応は?現場の反応として伝え聞くところでは、店員さんからは概ね好評のようです。やはり「物理的なバリケードがある」という安心感は大きく、深夜の一人勤務でも「これがあればちょっとホッとする」という声があるそうです。強盗のみならず、酔客などトラブルになりそうな人に対しても心理的距離が取れるため、「心にゆとりを持って接客できる」というメリットを感じる店員さんもいるようですね。一方、お客さん側の反応は様々でしょう。初めて要塞レジの店舗を訪れた人は、「おっ、なんだか銀行みたいで物々しいぞ?」と驚くかもしれません。「自分は怪しい者じゃないのに、なんだか疑われているみたいで嫌だ」と感じる人もいるかもしれませんね。しかし多くの方は*「へぇ、最近は防犯がしっかりしてるんだな」*と受け止めており、特に抵抗なく利用しているようです。深夜に利用する常連さんなどからは「店員さんが安心して働けるならこの方がいい」という理解の声もあるといいます。実際、要塞レジになったからといって購入できる商品やサービスが制限されるわけでもなく、支払い方法も従来通りです。強いて言えば深夜帯の入り口管理に少し協力が必要なくらいですね。「インターホン越しに店員さんとやりとりするようで少し寂しい」なんて意見もネット上にはありましたが、安全には代えられないと前向きに捉える人が多い印象です。ただし、運用上の課題もいくつか見えてきています。たとえば入口をリモコン解錠にしている深夜帯、*店員さんがトイレ掃除などで手を離せないときにお客さんが来たらどうする?*といった問題です。店員がすぐ気づかないと、お客さんが外で待たされてしまう可能性があります。またパネル越しの接客は、商品の受け渡しにやや手間取る場面もあるかもしれません(大きな荷物の宅配便受付などは特に)。これらは実際に運用してみて初めて分かる細かな不便もあるでしょう。今後テスト店舗で得られたフィードバックをもとに、運用ルールや設備面の微調整が進められるものと思われます。要塞レジ導入による利便性の向上と引き換えに生じるデメリットについて、現時点では大きな批判は出ていませんが、「過度な防犯でお店の雰囲気が悪くならないか」「お客さんとの距離が遠くなってサービス低下にならないか」といった懸念も議論されています。セブン-イレブンとしても、防犯とサービスのバランスには頭を悩ませていることでしょう。今後さらに導入店舗を増やす中で、そうした課題にどう対処していくかがポイントになりそうです。要塞レジ導入の背景にあるESGの影響セブン-イレブンの要塞レジ導入を語る上で、最近よく耳にする*「ESG」の流れも無視できません。ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字をとったもので、企業が長期的な成長を目指す上で重視すべき分野とされています。この中でも特に「S(社会)」*の部分に関連して、従業員の労働環境や人権の尊重がキーワードになってきます。要塞レジの導入は一見「防犯対策」の技術的な取り組みに思えますが、突き詰めれば*「従業員が安全に安心して働ける環境づくり」の一環です。実はこれ、企業の社会的責任(CSR)やESGの文脈では非常に重要視されています。近年、投資家や社会からは「従業員を大切にし、安全に働ける職場を提供している企業かどうか」という視点で企業評価が行われるようになっています。セブン&アイ・ホールディングスもサステナビリティ報告などで「全ての社員が安心して働ける環境づくりを進めています」*と明言しているほどで、コンビニ現場の店員さんも含め労働環境改善に取り組んでいる姿勢を示しています。具体的には、長時間労働の是正や休暇取得促進と並んで、「従業員が安全に働ける職場環境」の整備は重要なテーマです。コンビニ店員さんも当然その範疇に入ります。深夜に強盗や暴力の危険にさらされたまま放置…なんてことになれば、企業としてのガバナンス(統治)は問われますし、「従業員の人権を軽視している」と社会的に批判されかねません。要塞レジの導入は、そうしたリスクを減らし従業員の安全・人権を守る対策として、ESG的にも評価されうる動きと言えるでしょう。また先ほど触れたカスタマーハラスメント(カスハラ)問題も、ESGの「S:社会」領域で注目されています。従業員が理不尽なクレームや暴力にさらされている状況を放置すれば、企業は安全配慮義務を果たしていないと見なされる可能性があります。「お客様第一」も大事ですが、そればかり強調しすぎると従業員の安全や健康がおろそかになる危険があります。近年は労働安全衛生やハラスメント防止の法整備も進み、企業には従業員を保護する責務がより一層求められてきました。そうした社会的背景もあり、セブン-イレブンとしては要塞レジのような従業員保護策を講じることで、「従業員の安全と人権をちゃんと守っていますよ」というメッセージを発信している側面もあるでしょう。さらにESGの視点で言えば、企業ブランドやステークホルダー(利害関係者)からの信頼という点も無視できません。防犯対策を怠って事件が起こればブランドイメージは傷つきますし、従業員がハラスメント被害で鬱になるなんて事態になれば、優秀な人材が集まらなくなったり投資家から敬遠されたりするかもしれません。逆に、最新の防犯設備で従業員を守っている企業は「ちゃんとガバナンスが効いていて信頼できる」と評価されるでしょう。要塞レジ導入はセブン&アイHDのガバナンス面での proactive(先取的)な取り組みとも言えそうです。ただし、要塞レジ導入によってすべての問題が解決するわけではないことも留意が必要です。たとえばパネルで物理的に守られても、言葉の暴力すべてを防げるわけではありません。また、一人勤務の負荷そのもの(業務量の多さや孤独感)は別のケアも必要でしょう。要塞レジはあくまでハード面からのアプローチですので、合わせて*ソフト面(従業員教育やメンタルサポート)*の充実も求められます。ESGの「S」を追求するなら、設備投資+人への投資のバランスが重要ですね。今後の展望それでは、この要塞レジは今後どのように広がっていくのでしょうか?また、私たち消費者や企業側の対応はどうなっていくのでしょう?最後に展望を語りかけてみたいと思います。まずセブン-イレブン側の展望ですが、現在テスト中の約50店舗での成果次第では今後さらに導入店舗を増やしていく可能性があります。防犯効果や現場からの評判が良好であれば、都市部の深夜営業店を中心に徐々に展開していくことも十分考えられます。最終的には「全国のセブンすべてに要塞レジが!」なんて未来もあり得るかもしれません。ただ、全店舗導入となると莫大なコストがかかりますし、地域によって防犯ニーズの差もあります。例えば治安が比較的安定している地域や、逆に夜間営業を行っていない店舗(最近は24時間営業を見直す動きもあります)では、要塞レジは必要ないかもしれません。ですので、まずは犯罪リスクや深夜ワンオペ率が高い店舗から優先的に導入し、様子を見ながらエリアを拡大…という形になりそうです。セブン&アイHDとしては、この要塞レジ導入も含めた*「防犯と省人化の両立」を一つのモデルケースにしたいのではないでしょうか。人手不足が続く限り、いずれ他のコンビニチェーンや小売業でも似たような取り組みが求められる可能性があります。実際、ファミリーマートやローソンでも防犯カメラの高度化や深夜の無人営業実験*(店員不在でセルフレジのみ運用する試み)など、省人化と防犯を両立させる挑戦が進んでいます。要塞レジはセブン-イレブン流の解決策ですが、この成果次第では業界全体に広がる可能性も秘めています。「深夜のコンビニ=要塞化」は将来当たり前の光景になるかもしれません。一方、私たち消費者側の今後の対応としては、こうした防犯強化を受け入れつつ上手に付き合っていくことになるでしょう。最初は戸惑うかもしれませんが、防犯対策が強まること自体は私たちにとっても悪いことではありません。安全なお店で安心して買い物できるのはお客にとってもメリットです。「ちょっと厳重すぎない?」と思う向きもあるでしょうが、時代に合わせた防犯アップデートだと考えれば納得できます。今後、要塞レジの店舗が増えれば、「夜10時以降はドアが閉まってるけどビビらずインターホン押そう」といった具合に、新しいマナーにも慣れていくでしょう。また、防犯設備が向上したことで逆にサービス面の向上にも期待したいところです。例えば店員さんが安全に働けて心に余裕ができれば、これまで以上に丁寧な接客ができるかもしれません。要塞レジによって店員さんのストレスが減れば、その分笑顔が増えるかもしれないですよね。そう考えると、防犯強化とサービス向上は両立し得るのではないでしょうか。もちろん、「要塞みたいなレジなんて大げさだ」「お客と店員の間に壁を作るなんて寂しい」という声が今後出てくる可能性もあります。企業側はそうした声にも耳を傾けつつ、防犯とおもてなしの最適解を探していく必要があります。パネルの素材やデザインを工夫して圧迫感を減らすとか、AIカメラで自動検知して店員がすぐ対応できる仕組みを入れるとか、技術と運用のブラッシュアップも続いていくでしょう。最後に、要塞レジ導入をきっかけに改めて浮き彫りになったのは、「日常生活における防犯意識の高まり」です。一昔前なら考えられなかったような厳重体制が、今や身近なコンビニに現れ始めました。これは裏を返せば、社会全体で安全安心を求める声が高まっている証拠でもあります。セブン-イレブンの挑戦は、私たち消費者にとっても安全と利便性のバランスを考える良い機会かもしれません。「お店も従業員も守りたい。でもお客さんにも快適に利用してほしい」――その両立に向けた模索はこれからも続きそうです。要塞レジが今後どこまで普及するかは未知数ですが、少なくともセブン-イレブンが示したこの一歩は、コンビニの未来像に一石を投じました。過度な防犯対策か、それとも必要な進化か?皆さんが要塞レジを目にする機会があれば、ぜひその狙いや背景にも思いを巡らせてみてください。コンビニは常に進化する存在です。要塞レジもその進化の一環として、我々の安心・安全な日常を陰ながら支えてくれるかもしれませんね。