こんにちは!サステナ編集部です!最近、サウナが大ブームですね。「整う(ととのう)」「サ活(サウナ活動)」「サウナー」など次々と流行語が生まれ、空前の盛り上がりを見せています。忙しい日常の合間にスマホを置いて目を閉じ、熱いサウナと冷たい水風呂で心身をリフレッシュする習慣にハマった方も多いのではないでしょうか。しかしその一方で、ご存知のとおりサウナは高温を維持するために大量のエネルギーを消費し、温室効果ガスであるCO2(二酸化炭素)を多く排出しています。つまり、私たちが「ととのう」裏で地球の環境には少なからず負荷がかかっているのです。サウナブームの陰で浮上する環境問題一般的なドライサウナは電気ヒーターやガスボイラーで室内を90℃前後の高温に保ちます。そのためのエネルギー消費量は膨大で、当然CO2排出にも直結します。例えばフィンランドのデータによれば、8kWの電気サウナを2.5時間稼働させると約20kWhの電力を使用し、約11kgものCO2が排出される計算になります。11kgというとピンと来ないかもしれませんが、乗用車を約78km走らせた場合の排出量に相当します。サウナ1回でこれだけのCO2が出ていると考えると、決して無視できない量ですよね。こうした二酸化炭素の増加は地球温暖化の原因となり、気候変動を加速させます。産業革命以降、地球の平均気温は約1.1℃上昇し、その影響は年々深刻化しています。実は、地球が蓄えた余分な熱エネルギーの90%以上は海に吸収されているというデータもあります。海水温の上昇はサンゴの白化や海洋生態系の変化を引き起こし、気候システム全体に影響を及ぼしています。つまりサウナで体を温めている裏で、地球規模では海まで含めてどんどん「熱く」なっているのです。この現実を受け止め、サウナ愛好家としても環境に配慮した行動を考えることが求められています。とはいえ「サウナをやめましょう」という極端な話ではありませんのでご安心ください。持続可能な未来のために、環境に優しいサウナの楽しみ方を取り入れてみましょう。次の章では、最新のサウナトレンドから環境に配慮した取り組みまで、具体的な例を紹介します。自然と楽しむ最新サウナトレンド アウトドア&カーボンニュートラルサウナブームの中でも注目が集まっているのが、自然と一体化したアウトドアサウナです。都会の喧騒を離れ、森や湖に囲まれた場所でサウナを楽しむ体験は格別です。実際、緑豊かな環境で「ととのう」ことでリフレッシュ効果が高まるとも言われており、サウナを目的に地方を訪れる人も増えています。例えば、大分県豊後大野市では、「サウナのまち」宣言のもとで地域活性化を進めています。温泉の源泉数・湧出量ともに日本一で「おんせん県」を掲げる大分県にありながら、豊後大野市では温泉が出ません。地元のサウナ事業者がそれを逆手にとり、「おんせん県いいサウナ研究所」を立ち上げ、大自然を生かしたアウトドア・サウナを支援するとともに観光資源として活用しています。澄んだ空気の中、鳥のさえずりや川のせせらぎをBGMに汗を流せば、心も身体もリラックスできるでしょう。中でも人気なのがテントサウナです。テントサウナとは文字通りテント型の簡易サウナで、薪ストーブを熱源とするため電気やガスを使いません。湖畔や河原、海辺などにテントサウナを設置すれば、大自然を眺めながらサウナを楽しみ、そのまま天然の水風呂(川や湖)に飛び込むこともできます。設備いらずで持ち運び可能なことから、キャンプやグランピングのお供としてテントサウナをレンタルする人も増えています。「いつものサウナとは一味違う体験ができて楽しいし、自然の中だと格別」という声もあり、アウトドアレジャーの新定番になりつつあります。テントサウナやログハウス型の屋外サウナでは、薪を燃やして室内を暖めます。もちろん森林資源を守るため、薪の供給も持続可能であることが大前提です。幸い、日本各地でも間伐材を活用した薪づくりや、廃材を再利用したペレット燃料など再生可能エネルギーの活用が進んでいます。自然の恵みを上手に使いながら、心ゆくまでサウナを楽しめるのは嬉しいですね。サウナ業界のエコな取り組み:省エネ技術と資源循環サウナを環境に優しく楽しむためには、省エネルギー技術の導入も重要です。近年、一部のサウナメーカーや施設では最先端のテクノロジーを活用した省エネ化が進んでいます。例えばエストニアのサウナメーカーでは、AIを活用したヒーター制御システムや熱交換型の換気装置を開発し、サウナ利用時の電力消費を大幅に削減する試みが行われました。その結果、ユーザーの年間エネルギー消費を約4050MWh削減し、年間約2000トンものCO2排出削減が見込まれたそうです。これはまさに技術の力で「サウナ=エコでない」という常識を覆す画期的な取り組みですよね。また、既存のサウナ施設でも断熱性能を高めたり、効率的な換気で熱損失を防いだりといった工夫がなされています。例えばサウナ室の扉を二重にして外気温の影響を減らす、室温センサーで適切な暖房オンオフを行う、夜間電力を蓄熱して昼間に放出する、といったアイデアです。小さな改善に思えますが、チリも積もれば山となる。こうした省エネの積み重ねが、業界全体の環境負荷低減につながっていきます。さらに忘れてはならないのが資源循環(リサイクル)の視点です。サウナ愛好家の間では、環境に配慮したサウナグッズも人気が高まっています。中でも代表的なのがサウナハットです。サウナハットは頭部を熱から守るためのフェルト帽ですが、最近はリサイクルウールを利用した製品が登場しています。これは古着のセーターや縫製工場の余り毛糸など、廃棄予定だった羊毛を集めて再生した素材で作られており、染色も不要なエコ仕様。実際に愛知県一宮市など羊毛再生で有名な地域の技術が活かされており、「廃棄資源から生まれたサウナハット」というストーリーも相まってサウナー達の支持を集めています。肌触りも良くお洒落なので、一石二鳥ですね。そのほかにも、マイ水筒を持参してプラスチックごみを減らす、人肌に優しい天然素材のサウナマットを使う、など身近にできるエコな工夫はいろいろあります。使い捨て製品を減らし、繰り返し使えるものを選ぶことで資源の無駄遣いを防げます。サウナ後の水風呂も、循環式設備で水を無駄にしないよう管理している施設が増えています。例えばある温浴施設では、サウナの熱で温めたお湯をシャワーに利用し、省エネと節水を両立させているそうです。このように「サウナ×サステナビリティ」の工夫は探せばたくさん見つかります。私たち利用者もできることから取り入れていきたいですね。サウナで「ととのう」未来へサウナは心と体を癒やす素晴らしい文化であり、ブームを通じて多くの人々に健康と安らぎをもたらしています。一方で気候変動や資源問題にも目を向け、持続可能な楽しみ方を模索していくことが大切です。幸い、今回ご紹介したように環境に配慮したサウナのトレンドや取り組みは世界中で生まれています。「サウナ=贅沢な娯楽」ではなく、「サウナ=地球に優しいウェルネス」へ。そんな価値観のシフトが起これば、罪悪感なく思いきりサウナを満喫できますね。実際、2020年にはフィンランドのサウナ文化がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、持続可能な形でその文化を未来に継承していくことも求められています。サウナ愛好家として、そして地球市民として、これからも最新トレンドにアンテナを張りつつ環境への優しさも忘れずにいたいものです。サステナブルなサウナで心も体も「ととのえ」、私たちの大切な地球も一緒に「ととのえて」いきましょう!