最新(2023年総決算)の価格動向はこちら日本で発行されているカーボンクレジットは?日本で発行されているカーボンクレジットには、以下の種類がありますJ-Credit:企業や自治体が温室効果ガスの削減を行った際に発行されるカーボンクレジットです。J-Creditは、国が認定した第三者機関が発行するもので、日本国内でのみ利用可能です。非化石証書:再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等)の発電によって削減された温室効果ガスを証明するカーボンクレジットです。日本でも利用可能であり、企業や自治体等が購入することで、自社の温室効果ガス排出量を削減したことを示すことができます。CER(クリーン開発メカニズム執行委員会):先進国と途上国間で温室効果ガスの削減を行った場合に発行されるカーボンクレジットです。国連気候変動枠組条約に基づく制度で、日本でも利用可能です。JVER(日本版自主的減少量):日本において発行される自主的減少量(Voluntary Emission Reduction)のことです。J-Creditと同じく、温室効果ガスの削減に対してクレジットが与えられる制度ですが、J-Creditとは異なり、企業や自治体などが自主的に温室効果ガスの削減を行い、その削減量をJVERとして発行することができます。こちらについてはJ-Credit制度に統合されました。現在、国内で一般的に取引されているのはJクレジットおよび非化石証書です。Jクレジットは相対取引が主流ですが、年2回ほど国で行われている入札に加えて、東京証券取引所で経済産業省からの委託事業として試行取引を行うカーボン・クレジット市場の実証実験を実施し、流動性や1トンあたりの価格が明確になりつつあります。非化石証書についてはFIT法上の費用負担調整機関である低炭素投資促進機構(GIO)が、日本卸電力取引所(JEPX)のシステムを通じ、FIT電気の買取量(kWh)に相当する証書を、小売電気事業者に売却しています。Jクレジット価格動向J-クレジット入札から読み解くJ-クレジット制度事務局(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)では、政府保有クレジット等の入札販売を実施しており、公表されている約定価格の中央値は下記の通りである。(ソース元)2016年に実施された初回のJクレジットの入札価格は500円台だったが、昨年2022年実施された入札では再エネ発電が3,000円、省エネも1,550円と価格が年々上昇しています。省エネの伸びが悪いことに関しては、活用範囲が限られている点が挙げられます。再エネ由来については、「CDP質問書での報告」「SBTでの報告」「RE100での報告」が可能であり利用用途が多岐にわたるのに対して、省エネについては現在、上記の項目では利用できません。※2020年省エネ由来のJクレジットは落札されませんでした。東証のJクレジット市場取引検証より読み解く東京証券取引所が2022年9月22日〜2023年1月31日に実施した試行取引の結果です。各クレジットの変動幅はかなりありますが、加重平均で見ると再エネ由来は2,953円、省エネ由来は1,431円となっており、直近の入札より低い単価での取引がされています。入札は1度切りの提示価格で決まりその指標となる金額も昨年度の実績しか分かりませんでした。そのため、日々の需給で価格が決まる取引場での今後の入札における重要な指標になる可能性が高いです。今後のJクレジット価格の動向について現状は1月まで実施された東証での取引が公になっているクレジット価格になりますので、再エネ由来のクレジット価格は3,000円程度、省エネ由来のクレジット価格は1,500円程度の価値と見て良いでしょう。今後、Jクレジットを活用したカーボンオフセットを目指す企業が増加し、需給が逼迫するようなことがあれば更なる価格上昇圧力が価格可能はあります。非化石証書価格動向化石燃料由来の電気でないという証明書である非化石証書ですが、小売電気事業者が購入した非化石証書は「環境価値のある電気」と見なされ、その事業者から電気を買った企業は「CO2を排出しない電気を使っている」ことになります。小売電気事業者は非化石電源調達目標達成する必要があり、こちらを購入しています。また、Jクレジット(再エネ)同様に非化石証書もRE100※に利用できるためその需要も満たしています。非化石証書については年4回のオークションがあり、その結果は下記のようになります。傾向としては2017年よりkWhあたりの約定金額は低下し現在のFIT非化石証書の最低価格は0.3円/kWhです。ただし、昨年11月30日の同作業部会において、世界情勢の変化などから再エネ価値が上昇していることを考慮し、最低価格を引き上げる方向性が示されました。約定処理日約定量約定最高価格約定最安価格約定量加重平均価格入札参加会員数約定会員数2017 年度(通年)2018年5月18日5,155,738kWh4.00円/kWh1.30円/kWh1.30円/kWh26262018 年度(第1回)2018年8月10日2,241,311kWh4.00 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh772018 年度(第2回)2018年11月9日21,020,374kWh1.40 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh992018 年度(第3回)2019年3月1日8,557,640kWh4.00 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh40402018 年度(第4回)2019年5月17日3,500,555kWh1.40 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh18182019 年度(第1回)2019年8月9日106,376,433kWh2.00 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh20202019 年度(第2回)2019年11月8日186,640,635kWh1.50 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh28282019 年度(第3回)2019年2月7日84,674,694kWh2.00 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh32322019 年度(第4回)2020年5月15日63,300,355kWh2.00 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh36362020 年度(第1回)2020年8月21日151,173,370kWh1.40 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh33332020 年度(第2回)2020年11月13日508,815,437kWh4.00 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh59592020 年度(第3回)2021年2月12日445,634,238kWh1.50 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh60602020 年度(第4回)2021年5月14日350,080,634kWh1.50 円/kWh1.30 円/kWh1.30 円/kWh76762021 年度(第1回)-----2021 年度(第2回)2021年11月26日1,929,287,096kWh1.60 円/kWh0.30 円/kWh0.33 円/kWh1181182021 年度(第3回)2022年2月10日1,340,762,310kWh2.00 円/kWh0.30 円/kWh0.30 円/kWh1221222021 年度(第4回)2022年5月13日2,139,067,723kWh2.00 円/kWh0.30 円/kWh0.30 円/kWh1361362022 年度(第1回)2022年8月31日3,258,642,201kWh1.00 円/kWh0.30 円/kWh0.30 円/kWh1581582022 年度(第2回)2022年11月30日3,293,362,675kWh0.50 円/kWh0.30 円/kWh0.30 円/kWh1671672022 年度(第3回)2023年2月28日5,393,865,771kWh0.80 円/kWh0.30 円/kWh0.30 円/kWh203203※RE100:企業が再生可能エネルギーの100%導入に向けて取り組む国際的なイニシアチブのことです。具体的には、RE100に参加する企業は、自社で使用するエネルギーの100%を再生可能エネルギーで賄うことを目指しています。まとめ現在、日本にはさまざまなカーボンクレジットが存在していますが、企業側としては、各クレジットの管理が煩雑であり、利用用途も各クレジットで異なるため、カーボンクレジットの活用が進んでいない状況があります。このため、国として、2021年4月にスタートしたJ-クレジットを推進しています。J-クレジットは、従来の非化石エネルギー証書(RECs)や炭素オフセットクレジット(COCs)を統合し、日本国内での再生可能エネルギー導入量の認証制度として位置づけられています。今後、日本国内においてカーボンクレジット活用が進むためには、クレジット制度を一本化し、かつ流動性を随時保つ市場を形成することが必要です。このような市場が形成されることで、カーボンクレジットの取引がスムーズに行われ、企業側はカーボンニュートラルな取り組みを進めるための適切な手段を手に入れることができます。また、市場の流動性が高まることで、より多くの企業がカーボンクレジットを利用するようになり、日本全体のカーボンニュートラルな社会実現に向けて一歩近づくことができるでしょう。