はじめに2023年は阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一でプロ野球界のみならず、チームスローガンのA.R.E.になぞらえた「アレ」という言葉が流行語大賞にもなり日本中を盛り上げました。2024年のNPBペナントリーグの開幕まで1カ月を切り、各球団が日本一を目指してキャンプ期間を過ごしオープン戦を戦っています。そんな中我々サステナ編集部は、「日本で一番環境にやさしい球場ってどこだろう?」と疑問に思い、NPB12球団が本拠地としている球場が行っているESGの取り組みについて調査しました。各球場ごとに、様々な取り組みを行っているのでぜひご覧ください。【パ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-pacific【話題の高校野球新基準バットが環境に及ぼす影響 はこちら】https://sa-today.jp/articles/new-modelbat阪神甲子園球場「カーボンオフセット」「ゼロカーボンベースボールパーク」2023年日本一に輝いた阪神タイガースが本拠地とする阪神甲子園球場では、「ウル虎の夏」期間に主催試合で排出されるCO2をJ-クレジット制度を用いてオフセットする取り組みを行っています。https://hanshintigers.jp/news/topics/info_7462.htmlまた、他にも甲子園球場では以下の取り組みを行っています。甲子園といえば蔦ですが、由緒ある見た目でありながら環境にやさしいと思うと、なんだか感慨深いですね。プラスチックカップの回収及びリサイクルツタによる壁面緑化球場銀傘への太陽光発電設置井水・雨水のグラウンド散水及びトイレ洗浄水への利用飲食包材のバイオマス素材への変更カーボン・オフセット試合の開催それと、ゼロカーボンベースボールパークの設立を2025/3に控えております。ファーム球場といえば鳴尾浜球場ですが、ファーム移転先として、脱炭素先行地域の尼崎市・小田南公園にOpenされることが予定されています。日鉄鋼板 SGLスタジアム 尼崎、タイガース練習場、室内練習場、選手寮兼クラブハウスが新設されます。散歩やランニングができる周遊コース、公園野球場やくつろぎ空間など、地域に根付いたベースボールパークがファーム施設になることで、より一層タイガースファンも足を運びやすくなることでしょう。https://baseballpark.hanshin.co.jp/MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島「森を育てるカーボンオフセット記念セレモニー」昨年新井監督が就任し、選手とファンが一体となりペナントリーグ2位になった広島東洋カープが本拠地球場とするMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島ですが、ナイター試合の照明電力発電に係る70t/年間のCO2排出量を、J-クレジット制度を用いて県営の森林が吸収して創出したカーボンクレジットでオフセットしています。こちらも地域に根付いた環境にやさしい取り組みとなっており、「森を育てるカーボンオフセット記念セレモニー」では、マツダ株式会社の山内社長・稲本常務・広島市の荒本副市長・広島東洋カープの「スラィリー」・広島県の湯崎知事・ひろしまの森づくりキャラクター「モーリー」が参加して、カープの試合前のグラウンドで開催されました。https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/87/mazdastadiumceremony.html横浜スタジアム「照明のLED化で日本照明賞を受賞」2023年シーズンはサイヤング賞投手バウアーや、昨年WBC決勝で先発登板し、今年海を渡りメジャーリーガーとなる今永投手らの活躍で3位となった横浜DeNAベイスターズの本拠地横浜スタジアムでも、環境にやさしい取り組みが行われています。2015年シーズンから日本球界で初めてナイター照明をLED化させました。それによって2016年6月13日に一般社団法人 照明学会が選ぶ『第34回 日本照明賞』をLED照明設置の施工を担当した岩崎電気と共に受賞しています。LED 投光器660台に既存の設備を交換することで、瞬時の点灯、再始動ができるようになったうえに、総消費電力を約65%削減しました。横浜スタジアムに続き、PayPayドームや東京ドームも全面LED化を行っています。https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/akari/archives/160805.html東京ドーム「電力グリーン化」「ゴミの分別回収促進・リサイクル向上」昨年、3次にわたる原前監督の政権が幕を下ろし、新監督の阿部監督が率いてセ・リーグのペナント奪回、日本一を目指す読売巨人軍が本拠地とする東京ドームでは、ハマスタでも紹介したように使用電力のすべてをRE100対応の再生可能エネルギー由来のものとしています。また、試合当たりの観客動員数が多く、プロ野球以外にもライブコンサートや大規模イベントを実施する東京ドームはお客様の行動変容に結び付く工夫も行っています。その最たる例が「ゴミの分別回収促進・リサイクル向上」です。東京ドームシティ全域に集められた使用済みペットボトルを回収して新たなペットボトルに生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」水平リサイクルを行っているほか、回収したペットボトルキャップから再生品化したゴミ袋(CirculeX)を東京ドームシティで使用してもらうことで、CO2排出量の削減に寄与しているようです。https://www.tokyo-dome.jp/csr/environmental/明治神宮野球場「アップサイクルにチャレンジ」昨年はケガ人が多くカープ以来のリーグ3連覇を逃してしまった東京ヤクルトスワローズの本拠地球場である明治神宮野球場ですが、例年通り昨年も「JERAセ・リーグCHALLENGE アップサイクル プロジェクト」を実施しています。アップサイクルチャレンジとは、野球ファンと一緒に脱炭素社会の実現に挑戦にするこのプロジェクトは、回収したペットボトルをアップサイクルして繊維化し、スポーツ用のビブスなど新たな価値を持つ布製アイテムをつくり出す取り組みです。球場の正面入り口前にJERAのペットボトル回収ブースが設置され、ペットボトルを持参いただいた人に「JERA セ・リーグオリジナルポストカード」をプレゼントしています。結果として、目標だった累計4,000本を達成し大成功に終わったチャレンジですが、ペットボトルをビニール袋いっぱいにして持ってきてくれた方や、両手に抱えて持ってきてくれた方もいたようです!これにはつば九郎も大喜びですね!https://www.jera.co.jp/action/cleague/content/challenge/swallows_upcycling/バンテリンドーム「世界初の太陽光発電」昨年は惜しくも2年連続リーグ最下位となってしまった中日ドラゴンズの本拠地球場バンテリンドーム ナゴヤですが、環境にやさしい取り組みとして、ドーム型の野球場屋根では世界初の太陽光発電設備を設置しています。これにより、森林面積換算で約9万1000㎡(ナゴヤドームの敷地全体を森林にした場合と同等)のCO2削減効果が期待できるようです!そのほかにも電力・水力関連で多くの施策が施されています!雨水利用システム自然採光の積極利用自然換気の積極利用循環流ファン深夜電力の積極利用https://www.nagoya-dome.co.jp/aboutus/kankyo.php最後にセ・リーグ球団の本拠地で取り組まれている環境にやさしい施策について紹介してきましたが、環境に高い関心を持つ皆様、そして野球ファンのみなさまも楽しんでいただけたでしょうか!興行として日本に欠かせない野球ですが、伝統を守るためにも持続可能なNPB運営が大事になってきます。球場に足を運ぶ際にこうしたいろいろな取り組みを発見するのもまた楽しみかもしれませんね!今度はパ・リーグの球場についても調査して皆様にお届けしたいと思います。【パ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-pacific【話題の高校野球新基準バットが環境に及ぼす影響 はこちら】https://sa-today.jp/articles/new-modelbat