はじめにみなさんこんにちは!サステナ編集部です。春の甲子園センバツ大会の季節ですね!さて、2024年の甲子園センバツ大会は、まさに高校野球における歴史的な変革の舞台となっています。この変化は「新基準バット」の導入によるもので、選手のプレーイングや試合運びのスタイルへの影響は無視できない結果が見えてきています。更には我々サステナ編集部としては、環境への影響も少なからずあると考えております!本記事では、新基準バットの詳細から、導入の背景、その影響、さらには高野連による廃棄バットのリサイクル取り組みまでを詳しく解説していきます。関連記事【環境にやさしいNPB球場 セ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-central【環境にやさしいNPB球場 パ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-pacific新基準バットとは?新基準バットは、従来の金属バットよりも飛距離が抑えられる設計になっています。これには、バットの設計内容として形状を変更して反発力を低減させることによるもので、野球の安全性向上と技術的な側面に重点を置いています。具体的には、以下のような設計基準となりました。金属バットの最大径:67ミリ未満(旧基準)⇒64ミリ(新基準)打球部の厚さ:3-4ミリ以上に変更バットの重さ:900グラム以上を維持これにより、理論値として打球の速度や飛距離が以下のように変化すると言われています。打球の初速:5km/h程度の低下打球飛距離:最大約5m程度の低下例年ドラマチックな熱戦が繰り広げられる甲子園大会ですが、その多くが緊迫した場面での逆転ホームランやタイムリーといった打撃に関するシーンでもあるので、このような変化がどう試合展開に影響してくるのかといった面は非常に気になります。元東京ヤクルトスワローズの選手で高校時代は名門のPL学園で甲子園を沸かせた宮本氏も、低反発バットの導入目的には賛成であるが、打撃技術向上の方向性に及ぼす変化について警鐘を鳴らしているようです。参考:https://www.nikkansports.com/premium/baseball/news/202403190000698.html新基準バット導入の目的さて、順番が前後した気もしますがここで新基準バット導入の目的をおさらいしておきましょう。投手・野手の打球によるケガ抑制投手負担の軽減木製バットとの打球感乖離の低減打撃技術の向上上記に挙げた目的は、「従来の金属バットではボールが飛びすぎた」という見解からバットの規格を見直すという共通的な考えが含まれています。確かに既に外国ではU-18でも木製バットの導入が進んでいたり、昨今の甲子園大会でも投手負担が高いことや選手生命の保護については問題視されていたことから、こうした基準の導入が起こることは理解できますね。ですが、何かを変えることで犠牲が出ることもまた事実で、後述では野球シーンのみならず経済・環境に与える影響にも触れていこうと思います。高野連・メーカーから各高校に3本の配布まずは経済的な影響と、その対応についてですが、今回新基準が適用され、野球部を持つ高校は用具の入れ替えを余儀なくされています。そういった状況への対応策として高野連はメーカーと協力し、各高校に合計3本の新基準バットを提供しました。しかし、野球は最低9人で行うスポーツのため、全員分のバットが支給されていない現在、効率的な練習や、実戦形式の打球感で行える練習は限られるため、各校あるいは部員自ら練習メニューに合わせて新基準のバットを調達する必要があります。新基準のバットは2-3万円の相場のため、少なからず経済的な影響が出ていると言えます。2024年甲子園センバツ大会で起きていること次にプレー面での影響を見ていきましょう。本記事執筆時点(2024/3/21)で選抜大会で行われたゲームでは、12試合が行われており、生まれたホームラン数は1回戦で豊川高校のモイセエフ・ニキータ選手が放ったわずか1本です。1試合当たりの確率でいうと約8.33%となり、例年の同じくセンバツ大会における1試合当たりの確率が平均約51%(直近10年・当社調べ)なので、大きく低下していることがいえるでしょう。[追記 2024/03/28 12:49]3/22 神村学園の正林 輝大選手が大会2号本塁打を記録3/27 大阪桐蔭の境 亮陽選手が大会3号のランニングホームランを記録⇒これで大会合計3本に、計26試合で約11.5%の本塁打発生率となりました。※柵越え本塁打に絞ると、26試合で2本、約7.7%となります。筆者もテレビで観戦しているのですが、感覚的に打球速度と長打になる可能性は低いように思いますし、走者がいる際の攻撃戦術としても、強攻策ではなく、足や小技を絡めた攻撃が多くみられます。(あくまで筆者の感想です)また、現ドジャース所属 大谷翔平選手の母校である花巻東高校出身の佐々木麟太郎君が記録した高校通算本塁打140本という記録が、今回の基準変更により今後の動向にもよりますが不滅の記録になったかもしれませんね。新基準バットの導入が環境問題に与える影響最後に、サステナ編集部として本基準が環境に与える影響についても考察してみました。旧基準バットの扱い・廃棄についてまず、旧基準バットの扱いについて、おそらく暫くの間は練習用具として使用されると思いますが、バットの重さや打球感の違いから、熱心な野球部から順次バット全体を新基準に刷新する動きがみられると思います。そうしたときに旧基準のバットは不要となり廃棄に回されるため、少なからず環境への影響が出ると思われます。また、野球部だけでなく用具販売店でも旧基準バットの在庫問題に直面すると思われます。こうした問題への対応策が気になったので調査をしてみました。高野連の廃棄バットリサイクルの取組み前者の野球部内で出た廃棄バットについては、数年前から高野連でリサイクルを施策として行っているようです。具体的には、高野連の大会前に開会式や抽選会で参加校の関係者が一堂に会するのですが、そこで不要になったバットを全国で一斉に回収する取組があるようです。金属バットの廃棄はGHG排出が伴うため、リサイクルやリユースの取り組みが欠かせません。その中でこうした取り組みは環境保全に大きく役立ちます。外国人への販路拡張も?野球用品店の方はどうでしょうか。こちらは従来のリサイクルに加えて昨今の円安も相まって、オーストラリアなど旧基準のバットが利用できる海外からの需要が高まっているようです。今回新基準バットの導入により価格が下がり、なおかつ円安相場ということで、海外のプレーヤーからしたら高品質のバットが低価格で手に入るということで、日本にとっては大きな販路となっているようです。こちらも、製造されたものがしっかり利活用され不必要な廃棄機会を縮小できるため、環境保全には大きな要素ですね!さいごにここまで読んでくださりありがとうございます!まとめとなりますが、今回は新基準のバットで高校野球の各種シーンは勿論、それ以外のサプライチェーンにも視野を広げ、いろいろな影響について考えてみました。筆者は大の野球ファンなので、今後の日本野球、さらには大谷翔平選手のような世界でも活躍するような未来のスター選手が今年以降の高校球児からも誕生することを切に願いながら、今後も応援していきたいと思います!関連記事【環境にやさしいNPB球場 セ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-central【環境にやさしいNPB球場 パ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-pacific