こんにちは。サステナ編集部です。今回我々は、日向市漁業協同組合の漁師の高田一人さんを取材させていただきました。この記事では、彼の取り組みについて取り上げたいと思います。高田さんの取り組み日向市は宮崎県海沿いの比較的北部に位置する町です。豊かな森と豊かな海を有し、環境の取り組みを考えるにはまさに打ってつけの場所でした。その中でも細島や平岩といった地域で活動されている漁師の高田一人さんは、漁業だけでなく海にまつわる様々な活動をされています。高田さんの藻場再生の取り組みは、海の生態系の保全だけでなく、藻場が二酸化炭素を吸収する能力を活用し、ブルーカーボンと呼ばれるカーボンクレジットの創出にも寄与できる可能性があります。そんな高田さんが「漁業」ではなく「海業(うみぎょう)」と語ってくれた取り組みについて紹介していきます。1. 漁業高田さんは小型の底定置漁に取り組まれており、漁業経営改善の観点から第28回全国青年・女性漁業者交流大会にて水産庁長官賞を受賞されています。またその他にも、バイガイの籠漁や素潜り採貝漁、ムラサキウニの陸上養殖に取り組んでいます。特にムラサキウニの陸上養殖は特徴的で、地元のスーパーから出る野菜の非可食部や廃棄食材(レタスの一番外側の葉やパプリカなど)を餌として、ウニを育てています。こちらのウニは天然物と比べてあっさりとした味わいとのことです。藻場に食害をもたらすウニを防除するだけでなく、食用として養殖してしまう工夫に驚かされました。また、これまでは廃棄されていたキャベツやパプリカを資源として有効活用しており、漁業だけでなく多面的な課題解決の手段を作り出していることも重要なポイントですね。2. 水中ドローン事業高田さんは水中ドローン安全潜航操縦士の資格を持っていらっしゃいます。水中ドローンを海中の網の様子などを点検・調査し、漁業のDXに取り組んでいるそうです。また、海中の落とし物についても、場合によっては水中ドローンで見つけてくれるとのことです。他ではあまり聞かないサービスですね。水中ドローンによる映像は高田さんのYouTubeチャンネルから確認できますので、ぜひリンクから飛んでみてください!https://youtube.com/@takadaya_hososhima?si=KXu-l3E-xFvImMez3. 藻場再生活動平岩ではかつて藻場の量が激減したようです。しかし、高田さんもメンバーの一人である平岩採介藻グループによって、現在では豊かな藻場が再生されています。藻場再生にあたっては、平岩採介藻グループのメンバーが海に潜り、藻場減少の要因であるウニをハンマーで潰していったそうです。こうした地道な取り組が現在に繋がっていると考えると、現場で活動されている皆様には敬服いたします。近年、藻場再生はブルーカーボンやネイチャーポジティブの文脈で注目を集めています。ブルーカーボンは陸上の吸収系のグリーンカーボンと比べてCO2回帰リスクが低かったり、海洋生態系の保全という追加の価値もあります。今後は森林と海、そしてそれらをつなぐ河川や地下水といった流域を包括的に捉え、我々の暮らしとの共存を目指していくことが重要ですね!4. 観光事業高田さんはGSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)Professionalの資格もお持ちで、漁船を使った漁体験やクルーズなどの観光事業にも取り組まれています。地域に保全活動や資源循環などに取り組むだけでなく、地域の関係人口の増大にも取り組まれており、幅広く活動されていますね!最後に