こんにちは!サステナ編集部です!3月25日は「電気記念日」だってご存じでしたか?この日は、日本で初めて電灯が点いた日を記念して制定されたものなんです。そんな特別な日に合わせて、今回は「日本の電力」のあれこれを深掘りしてみようと思います。「日本の電気って実はどうなってるの?」と興味が湧いた方も、いつもはあまり電気のことを意識していない方も、ぜひ本記事を読んでみてくださいね。電気記念日の由来って知っていますか?3月25日が「電気記念日」に制定されている理由は、今から約150年ほど前の明治時代にさかのぼります。1878年(明治11年)の3月25日。当時、まだ東京・銀座も瓦斯灯(ガス灯)がメインで街を照らしていた時代に、工部大学校(現在の東京大学工学部の前身)で、日本で初めてアーク灯による実験点灯が行われたそうです。そして、その偉大な一歩を記念して定められたのが「電気記念日」なんですね。ところで、「明治時代に既に電灯があったなんて、意外と日本すごくない?」と驚かれる方もいるかもしれません。実は世界を見渡すと、エジソンが白熱電球を実用化したのは1879年。つまり、日本で電灯を試したのは世界的に見てもかなり早いタイミングだったんです。ちょっと誇らしいですよね。このように、実は日本は電気の導入が早い国でもあったわけですが、一方で産業革命や近代化の波に乗って、あっという間に発電所が増えていきました。そこから長い歴史をたどって、今の日本の電力システムが形作られているのです。電気記念日は、そんな日本の電力史を思い出すいいキッカケになるかもしれませんね。日本の電力事情、実はこんなところが面白い!日本の電気料金は高い?それとも安い?「日本の電気料金って海外と比べると高い」なんて話を聞いたことがある方も多いと思います。実際、国際エネルギー機関(IEA)の調査などを見ても、欧米の一部の国々と比べると日本の家庭用電気料金はやや高めというデータがあります。理由としては、エネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼っていること、燃料の価格変動の影響を受けやすいことなどが挙げられます。ただ、生活スタイルや税金のかかり方、電力会社の料金プランなど、国ごとの事情も違うので、一概に「日本は高すぎる!」と断言するのも難しいところです。最近では電力自由化が進み、さまざまな会社が電気サービスを提供していますよね。携帯キャリアやガス会社がセット割で電気を売っていたり、特典が付いたり。そんな選択肢の増加が、私たちにとってよりお得に、賢く電気を使うチャンスにもなっているわけです。東西で周波数が違う問題日本の電力の面白い(いやちょっと不便な?)特徴として、東日本と西日本で電力の周波数が違うというのは有名ですよね。東日本では50Hz、西日本では60Hzを採用しています。これは明治時代に発電機を輸入した際、東日本はドイツ製、西日本はアメリカ製を購入したから生まれた歴史的経緯があるのだとか。普段の生活ではあまり意識することはありませんが、災害時などに電力を融通し合う際にはこの周波数の違いがネックになったりします。電力をやり取りするためには周波数変換所を通す必要があり、容量も限られています。最近は設備も徐々に強化されているそうですが、エリアによって大きな需給差が生まれると問題が起こることも。そういう意味では、ひょんなことから生まれた「周波数の違い」が、現代の日本の電力システムにまで影響を与えているというのはなかなか面白いですよね。実は9つの電力会社と“新電力”がひしめき合っている「日本の電力会社」というと、東京電力や関西電力などを思い浮かべる方が多いかもしれません。実際には、地域ごとに9つ(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力)の大手電力会社があって、沖縄電力も含めると10社ですよね。いわゆる“地域独占”と呼ばれる体制で、それぞれが発電から送配電、小売りまでを一手に担ってきました。ところが2016年からの電力自由化で、“新電力”と呼ばれる多くの企業が電気小売りに参入しました。通信会社やガス会社はもちろん、中には地域のスーパーやカーシェアリング会社まで参入し、今やその数は数百社にのぼるとも言われています。競争が激化する中で、新しいビジネスモデルやサービスも生まれているので、将来的にもっと面白い展開になりそうですよね。気候変動と電力の関係、意外と深いんです日本の温室効果ガス排出量の約4割は「エネルギー転換部門」環境省や経済産業省のデータを見てみると、日本の温室効果ガス排出量の約4割は「エネルギー転換部門」から出ています。エネルギー転換部門とは主に火力発電所などの発電過程で発生するCO2などを指していて、簡単に言うと電気を作る段階でけっこうな量の温室効果ガスが出てるんですね。地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスの削減は、世界共通の課題です。COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)などでも「2050年カーボンニュートラル」や「2030年までに温室効果ガスを大幅に削減」といった目標が掲げられています。日本も、2030年度までに2013年度比で46%の削減を目指すと表明しています。こうした目標を達成するには、やはりエネルギー転換部門の排出量を大幅に減らす必要があるわけです。つまり、「電気をどう作って、どう使うか」というのは、気候変動対策の要とも言えるんですよね。化石燃料か、再生可能エネルギーか、それとも原子力か日本の電力は、依然として火力発電が大きな割合を占めています。経済産業省の「エネルギー白書」などによると、2020年度時点での電源構成はおおむね火力(石炭・LNG・石油など)が約7割、再生可能エネルギーが約2割、原子力が数%という状況。火力発電はCO2排出が多い一方で、出力調整がしやすく、安定供給に向いているというメリットがあります。一方で再生可能エネルギーは、太陽光や風力、小水力、地熱、バイオマスなど、種類は多岐にわたりますが、天候や立地条件に発電量が左右される課題があり、まだまだ普及のためのインフラ整備も途上です。ただし、CO2排出が少ないため、今後も拡大が期待されています。そして原子力発電はCO2排出が少ないエネルギー源とされているものの、2011年の東日本大震災以降、安全性や廃棄物処理の問題、世論の懸念などが大きく影響し、稼働が進まない状況です。エネルギー安全保障やコスト、環境負荷など多角的な観点でバランスをとりつつ、今後どう電源構成を変えていくのかが、日本の大きな課題と言えます。電力を賢く使うための技術も進化中「電気を作る」だけでなく、「使い方を工夫する」というアプローチも広がっています。例えばスマートグリッドやVPP(バーチャルパワープラント)などの技術を活用し、電力需要のピークを平準化したり、家庭や企業で発電した電力を融通したりする試みが行われています。また、電気自動車(EV)の普及が進むと、EVのバッテリーを蓄電池として活用し、電力を貯めておいて必要な時に供給する、といった「モビリティ×エネルギー」の新たな仕組みも期待されています。こういった技術革新によって、より柔軟で効率的な電力システムに近づいていくと考えられます。自然エネルギーが創る未来とは?海外ではこんな風に再生可能エネルギーが進んでる!海外に目を向けると、ドイツやデンマーク、カリフォルニア州などで再生可能エネルギーの導入が進んでいますよね。ドイツは早くから「エネルギー転換(Energiewende)」を掲げており、風力や太陽光発電が電源構成の大きな割合を占めるようになりました。また、デンマークでは風力発電の導入が積極的に進められ、国内電力のかなりの部分を賄っています。もちろんそれぞれ課題はあるものの、技術開発や制度設計によって課題を乗り越え、持続可能なエネルギー社会を目指しているんです。そうした国々でのノウハウや成功事例は、日本にとっても大きな参考になりますよね。再生可能エネルギーの拡大は、地球温暖化対策だけでなく、エネルギーの自給率を上げたり、新たな産業や雇用を生む可能性も秘めています。日本でも再エネ拡大が期待されているけど…日本でも、フィット制度(FIT: 固定価格買取制度)やFIP制度(FITの改良版)などが導入され、太陽光や風力発電が徐々に増えています。特に太陽光は住宅の屋根に載せるタイプや大規模メガソーラーなど、目にする機会も増えましたよね。ただ、用地の制約や天候依存の課題などから、現時点で爆発的に増やすのはなかなか難しい状況です。でも、日本は実は世界有数の地熱資源を持っていたり、洋上風力に適した海域が多いと言われています。最近では、秋田県沖や千葉県沖などで大規模な洋上風力発電の計画や実証実験が進んでいますし、温泉資源豊富な地域では地熱発電への期待も高まっています。こうしたポテンシャルをしっかり活かすことができれば、日本のエネルギー自給率アップに貢献できるかもしれません。私たちにできることって何?「電力問題は国や電力会社が考えることでしょ?」と思いがちですが、私たちにもできるアクションは多いんです。たとえば…使っていない家電の待機電力を減らす省エネ家電に買い替える日中のピークタイムにできるだけ電気を使わない工夫をする再生可能エネルギーを積極的に導入している電力会社を選ぶEVやハイブリッドカーなどを活用するこんな風に、日常のちょっとした意識や行動だけでも、積もり積もればCO2削減に貢献できます。地球の未来を考える話題にも、ちょっとずつ触れてみてはいかがでしょうか。まとめ今回は3月25日の電気記念日にちなんで、日本の電力事情をあれこれとご紹介してきました。明治時代に初めて電灯が点いた頃から始まり、今やエネルギー自由化や再生可能エネルギーの時代に突入しようとしている日本。振り返ってみると、電気の歴史はまさに人々の暮らしの進化と切り離せない存在ですね。もちろん、ゴシップ的なトピックも面白いですが、気候変動や環境保護、エネルギー安全保障など、真面目に考えなきゃいけない課題もたくさんあります。電力をどう作り、どう使うかは、私たちの未来に大きく影響するテーマだということを、改めて意識してもらえたら嬉しいです。ぜひ、電気の使い方をちょっと工夫したり、再生可能エネルギーについて調べたりして、サステナブルなライフスタイルを楽しんでみましょう。「電気って実は面白いかも?」なんて思っていただけたら、この記事を書いた甲斐があります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!それでは皆さん、素敵な「電気記念日」をお過ごしください!