こんにちは!サステナ編集部です!今日はアースデー(Earth Day)ということで、私たちの地球環境が直面する課題と現実、そして未来について考えていきたいと思います。みなさんも一緒に、地球の「今」を見つめてみましょう。プラスチックごみ問題、膨大な廃棄量と海洋汚染の現実世界中で使用されるプラスチック製品。その便利さの裏で生み出されるプラスチックごみの量は年々増加しています。経済協力開発機構(OECD)の報告によれば、2019年に世界で発生したプラスチックごみは3億5,300万トンにも上り、2000年から倍増しました。しかもそのうちリサイクルされたのはわずか9%程度に過ぎません。残りの半分近くは埋め立て処分され、約22%は適切に管理されないまま捨てられているのです。要するに、私たちが生み出した膨大なプラスチックごみの大部分は、最終的に自然環境に流出してしまっています。こうした不適切に捨てられたプラスチックごみは、川や海へと流れ込み、深刻な海洋汚染を引き起こします。推計では、毎年約800万トンものプラスチックごみが世界の海に流出しているとされます。この数字は1日あたりにすると約2万トン、目に見えないところで信じがたい量のプラスチックが海に捨てられている現実があります。私たちの記憶にも新しい、ストローが鼻に刺さったウミガメや、お腹から大量のプラスチックごみが見つかったクジラのニュースは、この問題の深刻さを象徴しています。そして衝撃的な予測ですが、現在のペースで海洋汚染が進めば2050年までに海の中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えてしまうとも試算されています。まさに「2050年には魚よりもプラスチックが多い海」になりかねないのです。海洋プラスチックは生態系にも経済にも大きな打撃を与えています。海では多くの海洋生物がプラスチックを誤って飲み込んだり、絡まったりして命を落とし、海の生態系が破壊されています。それだけでなく、水産業や観光業への影響も甚大です。経済協力開発機構(OECD)の推計によると、海洋プラスチックごみにより世界で毎年130億ドル(約1兆4,300億円)もの経済的損失が発生しているという報告もあります。これは漁業への被害やビーチの清掃費用、観光価値の低下など、幅広い損害を合計したものです。では、この問題の原因は何でしょうか? 海に浮かぶプラスチックごみというと、つい私たち人間のマナーの問題(ポイ捨て)だけを想像しがちです。しかし実際には、海や海岸に漂着するプラスチックごみの7〜8割は、街中で捨てられたごみが川などを通じて流出したものだと明らかになっています。つまり、陸上で適切に処理されなかったプラスチックごみが海まで到達しているのです。私たちの身近な生活から出るごみ処理の問題と、海洋汚染は深くつながっています。プラスチックごみ問題の解決に向けては、各国で様々な取り組みが進んでいます。使い捨てプラスチック製品の使用禁止やレジ袋の有料化、リサイクル技術の革新などの動きが世界中で活発化しており、国連でも2024年を目標に「プラスチック汚染を2040年までに終わらせるための国際条約」の交渉が進められています。私たち一人ひとりも、使い捨て製品をなるべく使わない、きちんと分別してリサイクルに出す、といった行動でこの問題の解決に貢献できるでしょう。美しい海を未来の世代に引き継ぐために、今できることを考えてみたいですね。森林破壊、急速に失われる熱帯雨林とその影響ブラジルのアマゾン熱帯雨林や東南アジアのジャングルなど、世界の熱帯雨林は「地球の肺」とも呼ばれ、豊かな生物多様性と気候安定化に重要な役割を果たしています。しかし現在、その貴重な森がかつてない速さで失われ続けています。最新の衛星データによれば、2022年には世界の熱帯地域で410万ヘクタールもの一次森林(原生的な熱帯雨林)が消失し、これは前年より10%も増加した深刻な数字です。この消失面積はイメージしにくいですが、毎分サッカー場11面分の森林が姿を消している計算になります。私たちがこうして記事を読んでいる間にも、広大な森が次々と失われているのです。中でも、南米アマゾンの森林破壊は深刻さを増しています。ブラジル政府の公式データによると、2020年8月〜2021年7月の1年間でブラジルのアマゾンは約13,000平方キロメートル(東京都のおよそ6倍の面積)もの森を失いました。これは過去15年で最悪の水準です。その翌年(2021年8月〜2022年7月)もわずかに減少したとはいえ約11,600平方キロメートルが消失しており、依然として極めて高い森林破壊が続いています。アマゾンでは近年、違法な伐採や火入れが横行し、森林が農地や牧場に転換されるケースが増えました。ブラジルでは2019年以降に環境保護の規制が緩和されたこともあり、2018年までの数年間と比べて森林破壊のペースが倍以上に加速してしまったとの指摘もあります。なぜこれほどまでに森林破壊が進んでいるのでしょうか? 最大の原因は農地や牧場への転換(農業目的の土地開発)です。国連食糧農業機関(FAO)の最新調査によれば、世界の森林減少の約90%は農業拡大によるもので、その内訳は半分以上が商業的な穀物・作物栽培のため、約40%が家畜放牧のためだとされています。つまり、私たちが消費する大豆やパーム油、牛肉などの需要を満たすために、熱帯林が大規模に切り開かれているのです。そのほかにも、違法伐採による木材の乱獲や、鉱山開発、インフラ建設(道路敷設やダム建設)も森林破壊の重要な要因です。例えばアマゾンでは、違法に取得した土地で放牧や農業を行う「土地収奪」が問題になっており、新たな高速道路の開通に伴って未開の森への人の侵入が進み、さらに破壊が広がるという悪循環も報告されています。森林破壊の影響は計り知れません。まず、生物多様性への影響があります。熱帯雨林は地球上の生物の宝庫であり、陸上の生物多様性の実に2/3が熱帯林に生息しているとも言われます。熱帯雨林は地球の陸地面積のわずか13%ほどしか覆っていないにもかかわらず、そこに地球上の数百万種もの動植物が暮らしているのです。したがって森林が失われることは、数えきれない種の生存域を奪い、絶滅の危機に追いやることを意味します。事実、近年の急速な森林破壊により、オランウータンやジャガーなど象徴的な大型動物から、まだ科学が知らない植物・昆虫に至るまで、多くの種が絶滅の瀬戸際にあります。ある分析では、現在の人為的な生態系破壊による生物種の消滅スピードは、過去の地球上の大量絶滅を上回る恐れすらあると指摘されています。これは私たち人類にとっても大きな損失であり、未来世代への重大な影響となるでしょう。さらに、森林破壊は気候変動(地球温暖化)にも直結しています。森林は木々が成長する過程で大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する「炭素の吸収源」として働いてきました。しかし、樹木が伐採・燃焼されると、その中に蓄えていたCO2が一気に放出されます。現在、人間活動によるCO2排出のうち、約10〜15%程度は森林破壊と劣化によるものと推計されています。とりわけ熱帯地域では、焼畑や泥炭地の火災などで大量のCO2が放出されており、せっかくの森林の炭素吸収能力が失われています。衝撃的なことに、一部の熱帯林(例えばアマゾン南東部)は、もはや吸収するよりも多くのCO2を排出する「炭素源」に転じてしまったとの研究結果もあります。つまり、森林が減ることで地球温暖化が加速し、気候変動がさらに深刻化するという悪循環が生まれているのです。このように森林破壊は、生態系の破壊と気候変動という二重の意味で地球に深刻なダメージを与えています。しかし、その危機的状況に対し、世界は無関心ではありません。近年、森林保護のための国際的な枠組み「REDD+(レッドプラス)」が推進され、森林を保護する途上国に経済的なインセンティブを与える仕組みが導入されています。また、2021年のCOP26では100以上の国が2030年までに森林減少を食い止めることに合意し、植林や持続可能な林業の拡大に投資することを約束しました。私たち個人も、違法伐採による木材や森林破壊につながる製品(例えば非持続的なパーム油使用製品)を避けること、FSC認証など持続可能な林産物を選ぶことなど、日々の選択で森林保全に貢献できます。熱帯雨林から届くSOSに耳を傾け、行動を起こすことが求められているのです。CO2排出量、過去最高水準と主な原因産業革命以来、人類は大量の二酸化炭素(CO2)を排出してきました。それが地球温暖化の主因であることは広く知られています。では、現在その排出量はどの程度に達しているのでしょうか?最新の分析によれば、世界全体のCO2排出量は2022年に約368億トン(ギガトン)と過去最大を記録しました。新型コロナウイルスによる一時的な経済停滞で2020年には排出量が減少しましたが、その後は経済再開に伴い再び増加傾向にあり、残念ながら過去最高水準を更新してしまったのです。この368億トンというCO2排出量は、一人あたりに均すと世界平均で年間約4.7トン前後にもなります。排出の多い国・地域では一人あたり10トン以上(例えば米国やオーストラリアなど)、少ない国では1トン未満という差があります。日本はどうでしょうか?日本全体では直近年度(2022年度)の温室効果ガス総排出量は約10億8,500万トン(CO2換算)となり、前年より2.3%減少して2013年度比では約23%もの削減に成功しています。日本のCO2排出量は2013年(東日本大震災後に火力発電への依存が高まった時期)にピークを迎え、その後は省エネの推進や再エネ導入拡大により着実に減少傾向にあります。この結果、日本の一人当たり排出量も現在は約8トン強と、ピーク時から比べて減少しています。先進国として引き続き高い水準ではあるものの、排出削減の努力が実を結びつつあることは希望が持てる点です。では、CO2は主にどのような原因から排出されているのでしょうか?大きく分類すると、エネルギー起源のCO2(化石燃料の燃焼)が圧倒的な割合を占めます。例えば石炭や石油、天然ガスを燃やして電気を作ったり、工場で熱を生み出したり、車を走らせたりするときにCO2が出ています。世界全体で見れば、発電や工場など産業部門、輸送(乗用車・航空機・船舶など)が三大排出源です。それぞれ概算で、電力・熱供給が全CO2排出の4割前後、産業部門が約1/4、輸送部門が約1/6を占めるとされています(残りは商業・家庭部門の暖房や廃棄物・その他)。要するに、私たちが便利で豊かな生活を送るためのエネルギー消費が、CO2排出の主因となっているのです。また、前述の土地利用(森林破壊など)も1割弱を占めています。ここで明るいニュースもあります。国際エネルギー機関(IEA)などによると、近年は世界のCO2排出の増加ペースが鈍化しつつあると言います。2022年は世界的なエネルギー危機の中でも、排出量の増加率は+0.9%と小幅に留まりました。これは、石炭消費が一部で増えた一方で、再生可能エネルギーの普及や電気自動車の拡大によって排出削減効果が出始めているためです。実際、電力部門だけを見ると、2022年における風力や太陽光発電の飛躍的な伸びのおかげで、電力セクターのCO2排出量はついに頭打ちになった可能性があるとの分析もあります。これは将来の排出削減に向けた大きな転換点であり、地球温暖化対策にとって希望の持てる兆しです。CO2排出量削減のためには、省エネルギーの徹底(無駄なエネルギー消費を減らす)、クリーンエネルギーへの転換(再エネや原子力、水素などへのシフト)、そして技術革新(炭素回収・貯留技術の活用など)が鍵となります。パリ協定で掲げられた「今世紀後半までに実質ゼロ排出(カーボンニュートラル)」という目標に向けて、多くの国が2030年や2050年の目標を定めています。日本も2050年カーボンニュートラルを宣言し、2030年までに2013年比で46%削減という目標を掲げています。目標達成への道のりは険しいですが、世界全体で少しずつ排出ピークアウトの兆しが見え始めた今、この動きを加速させることができれば、地球の温暖化にブレーキをかけることも不可能ではないでしょう。再生可能エネルギー、普及するクリーンエネルギーと未来への展望最後に、未来への希望を感じさせるトピックとして再生可能エネルギー(再エネ)の現状を見てみましょう。太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスといった再エネは、CO2をほとんど排出しないクリーンなエネルギー源です。近年、この再エネが世界中で急速に導入されつつあります。2022年、世界の発電量のうち約29.1%が再生可能エネルギーによって賄われました。これは10年前と比べても大幅な上昇で、再エネが発電の約3割を占める時代になったことを意味します。中でも太陽光発電と風力発電の伸びは著しく、2022年には世界の電力の約12%が風力と太陽光によって供給され、過去最高のシェアを記録しました。これら新しい再エネ技術は年々低コスト化し、設置容量も爆発的に増えています。実は世界の発電容量増加の大部分は再エネが占めるようになってきています。国際機関の報告では、2023年に世界で新たに導入された発電容量のうち実に86%が再エネだったとのデータもあります。特に太陽光は同年に407GW(ギガワット)という過去最大の容量が追加され、風力も117GWが追加されました。これは中国や米国、EU諸国、そしてインドやブラジルなど世界各国で再エネ投資が加速している結果です。IEAの見通しでは、今後5年間で世界の再エネ発電容量はさらに75%増加し、2027年までに過去20年分に相当する規模の再エネが導入されると予測されています。再エネ革命とも呼べる勢いで、クリーンエネルギーへのシフトが進んでいるのです。では日本の状況はどうでしょうか?日本でも再生可能エネルギーの導入量は着実に増えています。2018年に21%程度だった再エネ比率は2022年には26%まで上昇しました。これは日本の電力の約4分の1を再エネが賄っている計算です。内訳を見れば、水力発電(大規模ダムなど従来型の水力)が約8%分、残りの約18%分が太陽光・風力・バイオマス・地熱といった新エネルギーによる発電です。特に太陽光発電は2012年に固定価格買取制度(FIT)が始まって以降急増し、いまや日本の総発電量の約10%前後を占めるまでになりました。風力発電はまだ1%程度と遅れていますが、現在洋上風力発電の大規模プロジェクトが動き始めており、今後拡大が期待されます。政府は2030年度までに再エネ比率36〜38%を目標に掲げ、各地で太陽光パネルの設置促進や風力発電ゾーンの指定など政策的な後押しを強化しています。実現すれば、2030年には日本の電力の約3分の1以上が再エネ由来になる見通しです。再生可能エネルギーの普及は、CO2排出削減やエネルギー安全保障の観点からも多くのメリットがあります。化石燃料に依存しないため、発電時にCO2を出さず、燃料価格の変動や国際情勢の影響を受けにくい安定した自国エネルギー源となります。実際、昨今のエネルギー価格高騰の中で、多くの国が太陽光・風力を「安価で自給できる電力源」として重視し始めました。また、再エネ産業の成長は新たな雇用やイノベーションを生み出しつつあります。2023年には世界で再エネ関連投資が過去最高の6,225億ドルに達したとも報告されており、経済面でも無視できない存在です。とはいえ、再生可能エネルギーが万能というわけではありません。天候に左右される太陽光・風力の不安定さを補うための蓄電池技術や電力グリッド整備、そして夜間や無風時に備えた水素エネルギーや地熱・潮力など、多角的なエネルギーミックスが必要です。また、美しい景観との調和や森林伐採を伴う太陽光パネル設置への懸念など、解決すべき課題もあります。しかし、人類が直面する気候危機に立ち向かう上で、再生可能エネルギーの拡大は欠かせない希望の光です。現在のところ、世界全体の電力の約3割が再エネで賄われ、この割合は年々増えています。さらにクリーンエネルギー技術の進歩により、近い将来には電力の半分以上を再エネで供給できる国が続々と現れると期待されています。実際に、ノルウェーやアイスランドなど一部の国ではすでに電力のほぼ100%を水力や地熱で賄っていますし、デンマークは風力発電だけで50%以上を供給しています。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は「2050年までに世界の電力の90%を再生可能エネルギーでまかなうことが可能」と試算しており、技術と政策次第で持続可能な未来は手の届くところにあるのです。まとめ以上、環境の現状を見てきました。プラスチックごみ問題や森林破壊の現実には驚かされますが、その一方で再生可能エネルギーの普及など未来に希望を与えてくれる動きも確かに存在します。アースデーは環境について考え行動を起こす日です。私たち一人ひとりがこれらの事実を知り、感動し、危機感を持ち、そして行動に移すことで、必ずや地球の未来をより良い方向へと変えていけるでしょう。「地球を大切に」という思いを胸に、できることから一歩ずつ。それが、次の世代への最高の贈り物になるはずです。