プロローグシーフードは和食やお寿司、イタリアン、中華など様々なジャンルで目にすることが多く、日本人の食文化に欠かせない食材の一つと言えます。日本人の年間の一人当たりの消費量は令和2年(2020年)で23.4kgであり、日常的にシーフードを食べていることが分かります。また、近年ではよく消費される生鮮魚介類は、イカ・エビからサケ・マグロ・ブリへ変化しているようです。今回はそんなシーフードの中でも近年、注目を集めているサスティナブル・シーフードに関してご紹介したいと思います。サスティナブル・シーフードとはサスティナブル・シーフードとは水産資源や海の健全性が長期にわたって確保される方法をとっている漁業で獲られた水産物です。要は環境に配慮したシーフードのことを指します。世界の人口は2050年までに100億人に達すると予想されており、貴重な水産資源を持続可能な形で利用することが不可欠です。世界の沿岸地域で暮らす何百万もの人々にとって、漁業をやめるという選択肢はありません。その為、このような環境に配慮し持続可能的に魚を取って食べることができる仕組みが重要となります。では、具体的にどのような基準を満たせばサスティナブル・シーフードといえるのでしょうか。後述しますがサスティナブル・シーフードの証明としてはMSC認証を取得していることが挙げられ、認証の規定では下記を満たすことでサスティナブル・シーフードとして認められます。①水産資源の持続可能性の考慮資源の枯渇を防ぐ為、過剰な漁獲を行わず、枯渇した資源については回復を論証できる方法で漁業を行うこと。②漁業が生態系に与える影響の考慮漁業が依存する生態系の構造、多様性、生産力等を維持できる形で漁業を行うこと。③漁業の管理システム原則1、2を満たすための地域や国内、国際的なルールを尊重した管理システムを有すること。また、持続可能な資源利用を行うための制度や体制を有すること。上記を満たすことで持続可能な漁業を実現し水産資源と環境に配慮した漁業を行い、生態系の破壊を防ぎ十分な魚を海に残すことに繋がります。また、海を守ることで漁業で生活を送っている人々の雇用を守ることにもつながります。MSC「海のエコラベル」について前述しましたがサスティナブル・シーフードとして認められるためにはMSC認証の取得が必要となります。MSC認証は海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)が認証します。現在、世界では天然水産資源を扱う400以上の漁業が、MSC漁業認証を取得しており、MSC漁業認証の審査では、MSCとは別の独立した機関が持続可能な漁業であるかを判断します。認証後も、審査員による年次監査や5年ごとに認証を更新するなど、厳しく管理されており、審査の際に問題が見つかった場合、決められた期間内に改善されなければ認証停止になることもあります。また、MSC認証の他に水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council)のASC認証やサプライチェーンを対象としたCoC(Chain of Custody:加工流通過程の管理)認証が存在します。ASC認証は天然の海から漁獲を行うMSC認証に対して環境や社会に配慮した養殖された水産物を証明する認証となります。認証の取得には下記7原則を満たすことが求められます。1.国および地域の法律および規制への準拠2.自然生息地、地域の生物多様性および生態系の保全3.野生個体群の多様性の維持4.水資源および水質の保全5.飼料およびその他の資源の責任ある利用6.適切な魚病管理、抗生物質や化学物質の管理と責任ある使用7.地域社会に対する責任と適切な労働環境CoC認証はMSC認証やASC認証を獲得している水産物が消費者の手に届くまで環境に配慮されたサプライチェーンマネジメントとなっているか、認証を受けていない水産物が混ざっていないことを証明し、流通〜製造・加工〜販売の過程を明確にするものです。CoC認証があることによって、水産物の情報が追跡可能になり安全性も高まります。単に上流工程で認証を受けているからといってサスティナブル・シーフードと名乗れるわけではないということです。活用方法についてMSC認証、ASC認証、CoC認証はどのような活用がされるのでしょうか。各種の認証を受けた商品にはエコマークの記載が可能となります。現在、MSC認証ラベルの付いた商品は51,000品目以上あり100ヵ国以上で販売されています。種類に関してもスーパーで気軽に手に入る食品から、贈答品用のものまでその中で日本では、1,100以上の商品が登録されております。このような形で消費者に安心して提供する証明の一つとしての活用が主流となっています。その他、近年ではグローバルの要請の影響力が強く外資系が母体のレストランやホテルなどでは認証を受けていない水産物を取り扱うことができないなどの制約があり、業者選択の基準の1つとして認証の取得可否が確立しつつあります。その為、漁業関係の販売元やサプライチェーンに関わる運送業者の他社との差別化としての側面もこの認証制度には存在すると言えます。エピローグ今回はサスティナブル・シーフードに関して、認証やその必要性などをご紹介しました。この先、魚が食べられない未来が来ない為にも環境に配慮した持続可能な水産物が重要であることご理解いただけたら幸いです。皆さんも今晩の夕食の買い出しの際にお魚を手に取って海のエコラベルが付いているか確認してみてください。