こんにちは!サステナ編集部です!春の訪れを告げる「春分の日」、皆さんはどのように過ごしますか?「昼と夜の長さが同じになる日」として知られる春分の日ですが、実はその背景には意外な歴史や気候・環境にまつわるストーリーがたくさんあります。本記事では、春分の日の由来、さらには気候変動との関係までご紹介します。自然が目覚める季節を感じつつ、地球の今と未来にも思いを馳せてみましょう。春分の日の由来と本当の意味、歴史をひも解くと意外な事実が!春分の日は日本では国民の祝日の一つですが、そもそも何をする日かご存じでしょうか?現在は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」として法律で定められており、身近な自然や生き物に感謝する趣旨の日です。実際、春分の日は戦後に制定された際、その目的に「自然を讃え、生き物を慈しむ」ことが掲げられました。何気なく過ごしている祝日ですが、環境や生命への感謝が込められているのは素敵ですよね。とはいえ、多くの人にとって春分の日は「春のお彼岸」の中日でもあります。昔から春分と秋分には祖先を供養する風習があり、今でもお墓参りに行ったり、おはぎ(ぼたもち)を食べたりする家庭も少なくありません。実はこの祝日、戦前までは「春季皇霊祭」と呼ばれる天皇や皇族の祖先を祀る重要な祭日でした。1948年に現在の名称「春分の日」となりましたが、そのルーツを辿ると皇室行事と深く結びついていたのです。また、「昼と夜の長さが等しくなる日」と言われる春分ですが、豆知識としては本当にピッタリ同じ長さではないってご存じでしたか?実際には大気の屈折や太陽の見え方の関係で、昼のほうが若干長いそうです。とはいえ寒さ暑さも彼岸までという言葉通り、この日を境にだんだんと過ごしやすい陽気へと変わっていく節目。春を迎える喜びを昔の人々がどれほど大切にしてきたかがうかがえます。このように、春分の日には歴史的・文化的な背景がたくさん詰まっています。ただの祝日と思いきや、自然や先祖への感謝、春を祝い新たなスタートを切る意味合いが込められた、とても奥深い日なのです。春分の日と気候変動って関係あるの?データで見る地球の変化春分の日自体は天文学的な現象ですが、この時期の気候や季節感については近年大きな変化が起きています。地球規模の気候変動です。せっかく自然を讃える日なのですから、今地球にどんな変化が起きているのか、データをもとに考えてみましょう。まず感じるのは「最近春が早く来てないか?」ということ。実際、春の到来時期が昔より早まっているとの研究があります。例えばアメリカでは、近年春の訪れが数十年前より平均で約3日も早まっているとの分析結果があります。さらにこのまま温室効果ガスの排出が増え続ければ、2100年には春の芽吹きが今より21日も早まる可能性があるとも予測されています。3週間も季節が前倒しになるなんて、驚きですよね。日本でも「桜の開花が年々早まっている」と毎年話題になりますが、それも地球温暖化の影響の一つと言えそうです。実際のデータも見てみましょう。東京では春分の日を含む3月の気温が過去と比べ上昇しています。気象データによると、東京の春分の日の平均気温は1870年代から現在までに全体的に上昇傾向にあることが確認されています。また、2021年には京都で桜の満開日が観測史上最も早い3月26日となりました。これはなんと約1200年ぶりの早さで、専門家は気候変動の影響を指摘しています。昔なら春分の日にはまだ咲いていなかった桜が、今ではもう咲き始めている──そんな変化が現実に起きているんです。地球全体で見ると、産業革命以降の気温上昇は明らかです。直近では2020年や2024年など、観測史上最も暑い年が次々と更新されています。例えば2020年は2016年と並んで記録的な猛暑年でしたし、NASAの分析では2024年の地表気温は19世紀後半の水準より約1.4〜1.5℃も高いと報告されています。このように長期的なデータは、地球が確実に温暖化していることを示しています。春分の日は季節の変わり目ですが、その季節感自体が気候変動で変わりつつあるのは見逃せません。さらに、気温だけでなく生態系への影響も出ています。春が早まることで植物の花が例年より早く咲いたり、昆虫の発生や渡り鳥の時期がズレたりする現象が各地で観察されています。例えば植物が早く開花しすぎると、肝心の受粉をしてくれる昆虫とのタイミングが合わず、実がつかないなんてことも起こり得ます。私たち人間にも他人事ではなく、春の花粉シーズンが長引いたり激化したりする傾向も指摘されています。ある研究では、花粉の飛散量が2060年までに現在の2倍近くに増加するとの予測もあります。春分の日あたりに「今年は花粉が多いなぁ」と感じるのは、気のせいではないのかもしれません。このように、春分の日の頃の気候や自然現象をデータで見ていくと、地球規模の環境変化と無縁ではいられないことがわかります。せっかく自然に思いを寄せる日ですから、こんな環境の変化についても少し考えてみると、春分の日の意義がまた違って感じられるかもしれません。昼と夜が同じ長さの日に、地球の未来を考える前章で触れたとおり、気候変動によって季節や気温のバランスが崩れつつあります。地球全体の平均気温が上がり続けるということは、極端な気象現象も増える可能性があります。実際、世界各地で熱波や干ばつ、豪雨といった極端現象が近年増えており、ニュースで耳にしない日はないほどです。春は穏やかな季節のはずが、急な暑さで真夏日になったり、逆に寒の戻りで雪が降ったりと、気候のジェットコースター化が進んでいるとの指摘もあります。私たちが当たり前と思ってきた季節のリズムが、このままだと変わってしまうかもしれないのです。「昼夜平分」の春分は本来、自然の摂理がもたらす安定したリズムを感じる日です。そのタイミングで地球環境の変化に思いを巡らせるのは、とてもシンボリックな意味を持つでしょう。たとえば国連が定める国際デーの一つ「Earth Day(アースデー)」は4月22日が有名ですが、実は元々は春分の日を地球の日にしようという提案があったことをご存じですか?1970年に平和運動家のジョン・マコーネル氏が、3月21日の春分(当時)を地球環境を考える日「アースデー」として呼びかけ、国連でも春分のアースデーが採択された経緯があります。その後、4月22日に別の形で定着しましたが、春分の日はそんな地球への想いとも結びついた日でもあります。昼と夜の長さが等しいこの日は、「今のままで良いのだろうか?」と立ち止まって考えるバランス感覚を私たちに与えてくれます。便利さや快適さを追い求めるあまり、いつの間にか環境への負荷が大きくなってしまった現代。春分に近い時期には「アースアワー(Earth Hour)」といって世界中で1時間消灯する環境イベントも行われています。昼夜のバランスを感じる日に、エネルギーの使い方や自然との付き合い方のバランスも見直してみてはいかがでしょうか。まとめ春分の日には、こうした歴史的な背景や環境への想いを巡らせながら、自分なりの春の楽しみ方を見つけてみてください。昼と夜が分かち合うこの日、私たちも地球と調和しながらハッピーに過ごせますように。春の訪れとともに、素敵な春分の日をお過ごしください!