こんにちは!サステナ編集部です! 本日はヒョンデ(Hyundai)の取り組みについて解説したいと思います!ヒョンデについてヒョンデは韓国に本拠を置く大手自動車メーカーです。 ブランド名としては英語表記で「Hyundai」と書かれることが多いので、「ヒュンダイ」という読み方で知っている方も多いかもしれませんね。 しかし、近年は自国の発音に近い「ヒョンデ」という呼称でグローバル展開しているため、日本でも徐々にこの呼び方が浸透してきています。ヒョンデは1967年の創業以来、韓国国内だけでなく、世界中で自動車を製造・販売している企業です。 特に2000年代以降はクオリティやデザインなどが大きく進化し、欧米やアジア各国でも人気を博すようになりました。 さらに電気自動車や水素燃料電池自動車などの先進技術にも積極的に投資しており、環境に配慮したラインナップ拡充を進めていることで注目度が高まっています。ヒョンデの特徴のひとつは、グループとしてさまざまな事業を展開している点です。 例えば、現代自動車(Hyundai Motor Company)、起亜(Kia)、高級車ブランドのジェネシス(Genesis)など、いくつかの自動車ブランドを抱えています。 さらに、造船業や建設業にも進出しているため、ヒョンデグループとしては幅広い産業分野をカバーしているのです。自動車の分野では、エンジンの研究開発や生産技術の内製化を強みにしており、成長戦略もダイナミックです。 ここ数年は特にバッテリー電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HEV)、水素燃料電池車(FCEV)への注力が目立っています。 環境規制が厳しくなっている欧米でも評価が高まり、新たなマーケットを次々と開拓しています。とはいえ、まだ日本国内では存在感が他の欧米メーカーほど大きくないかもしれません。 しかし近年は日本市場にも本格的に再進出し、EVを中心としたラインナップを展開し始めています。 EVインフラやサステナビリティに関する取り組みも意欲的ですので、まさに今後注目したい企業の一つと言えるでしょう。ヒョンデの取り組みここからは、ヒョンデが実際に行っているサステナビリティや環境負荷削減のための取り組みについてご紹介していきます。 グローバルでの動きとあわせて、最近のニュースなども交えて解説していきますね。EV・水素燃料電池車への注力ヒョンデといえば、やはり電気自動車(EV)や水素燃料電池車(FCEV)での活躍が目立ちます。 代表的なのは、バッテリー電気自動車の「IONIQ(アイオニック)」シリーズや、水素燃料電池SUV「NEXO(ネッソ)」などです。 これらのモデルは、環境に配慮しながらも、十分な走行性能と快適性を兼ね備えていると高い評価を得ています。また、ヒョンデグループ全体でも、クリーンモビリティの普及を目指して多額の投資を行っています。 例えば、起亜(Kia)ブランドでもEV専用プラットフォームを導入し、「EV6」などのモデルをリリース。 グループ内で技術シナジーを起こし、バッテリー技術や燃料電池技術を共有しながら、効率よく車種開発を進めています。特に水素燃料電池の開発では、世界のトップクラスの技術レベルを持っていると言われています。 トヨタやホンダがFCEVに注力している印象が強い日本とは違い、韓国でもヒョンデが中心的な役割を担っており、政府の支援も受けながらインフラ整備などが進められています。生産工程の省エネ・CO2削減ヒョンデは車両自体の環境性能だけでなく、生産工程の省エネルギー化にも力を入れています。 工場での電力使用量を削減したり、再生可能エネルギーの活用を増やしたりといった取り組みを積極的に実施しています。 その一環として、太陽光パネルの導入や廃熱再利用システムの構築も進めており、工場全体のカーボンフットプリント削減を目指しています。具体例としては、2020年以降、グローバル各拠点の工場で太陽光発電設備を拡大し、工場で必要とされるエネルギーの一部をクリーンエネルギーで賄う試みを加速させている点が挙げられます。 また、塗装工程でのVOC(揮発性有機化合物)の排出量を削減するため、高効率の塗装ブースや塗料の改良も行われています。サプライチェーン全体へのアプローチヒョンデは車両を作るだけでなく、部品や材料の調達、物流などのサプライチェーン全体で環境負荷を削減しようとしています。 サプライヤーに対しても環境配慮基準を設け、定期的に監査や支援を行うなど、グローバル企業としての責任を果たすための取り組みを強化しています。近年は、バッテリーの原材料となるリチウムやコバルトの調達において、人権問題や環境破壊が懸念されるケースがあるという課題が国際的に取り沙汰されています。 ヒョンデはサプライチェーンの透明性を高めるため、ブロックチェーン技術の導入や国際認証の取得などを検討しており、持続可能な原材料調達を目指しています。未来都市「スマートシティ」構想ヒョンデはモビリティを軸としたスマートシティ構想にも積極的です。 都市のインフラとクルマを連携させることで、渋滞緩和や交通事故削減だけでなく、エネルギー効率を高めようという取り組みを進めています。 例えば、EVやFCEVを家庭や街中のエネルギー供給と繋げ、余剰電力を有効活用する「V2G(Vehicle-to-Grid)」や「V2H(Vehicle-to-Home)」といったシステムの研究も進んでいます。こうした先端技術や街づくりへのアプローチは、近未来のモビリティ社会を見据えたものであり、環境負荷の少ない暮らしを実現するうえで非常に重要です。 他国の自動車メーカーと比較しても、ヒョンデのこうしたスマートシティへのコミットメントはかなり強く、日本を含む世界各地でパイロットプロジェクトを進めています。ヒョンデが持つ課題や環境への影響次に、ヒョンデの取り組みは素晴らしい一方で、抱えている課題や環境への影響についても冷静に見ていきましょう。EV・FCEV普及のインフラ整備の遅れヒョンデに限った話ではありませんが、電気自動車や水素燃料電池車の普及には、充電ステーションや水素ステーションといったインフラが必要不可欠です。 韓国国内では政府支援によって水素ステーションの拡充などが進んでいますが、それでもまだ十分とは言えません。 世界的に見ても、EVやFCEVのインフラは地域差が大きく、特に新興国を中心に普及が進んでいないエリアが多いです。このインフラ不足が原因で、環境性能の高い車種があってもユーザーが実際に購入しづらいという問題があります。 ヒョンデとしては、政府や他企業と連携してインフラ整備を進めていく必要がありますが、その取り組みには時間とコストがかかります。サプライチェーンにおける人権・環境課題先ほど少し触れましたが、バッテリー原材料の調達では、開発途上国の鉱山で労働環境や環境破壊が問題視されるケースがあります。 ヒョンデは大手自動車メーカーとして、そうしたサプライチェーン全体での問題に対して社会的責任を問われています。 実際に、業界全体としてEVの普及を進める一方で、原材料調達の持続可能性に疑問が呈されることは少なくありません。ヒョンデ自身もこの課題を認識しており、ESG(環境・社会・ガバナンス)レポートなどでもサプライチェーンのリスク管理や改善計画について触れています。 しかし課題解決には業界全体での協力や、政府・NGOとの連携も重要なので、解決には長期的なアプローチが必要になるでしょう。コストと価格競争力環境配慮型の自動車は、どうしてもコストがかかりやすいという面があります。 特に、バッテリーや水素燃料電池といった先端技術は、研究開発費や生産設備への投資額が大きくなる傾向にあります。 ヒョンデは大量生産のメリットを活かしてコストダウンを図っていますが、それでも一般ユーザーにとって価格が高めに感じられるケースがあります。価格が高いと普及が進みにくいため、政府の補助金制度やインセンティブが重要になります。 一方で、補助金頼みのビジネスモデルだと持続可能性にも懸念が生じますので、いかにコストを下げていくかが今後の大きな課題と言えます。ライフサイクル全体での環境負荷EVやFCEVは走行時のCO2排出を抑えられる一方、製造過程でのバッテリー生産や電力の発電方法など、ライフサイクル全体で見たときの環境負荷も考慮しなくてはなりません。 もしバッテリーの原材料が環境破壊を伴う方法で採掘されていたり、充電に使う電力が化石燃料から供給される場合は、思ったほどCO2削減に繋がらない可能性があります。ヒョンデとしては、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーを活用しながら、車両の製造・廃棄に至るまでの環境負荷をできる限り低減する必要があります。 最近は、バッテリーリサイクルの体制や水素のグリーン生産(再生可能エネルギー由来の水素製造)に力を入れるなどの動きも見られますが、本格的に広がるまでにはまだ時間がかかりそうです。日本企業が学べるポイントヒョンデの環境・サステナビリティへの取り組みは、日本企業が学べるポイントも多くあります。 ここでは、いくつかの視点からご紹介してみましょう。スピード感のある技術開発ヒョンデのEVやFCEVに代表される先端技術への投資や開発スピードは、目を見張るものがあります。 日本企業は品質や安全性へのこだわりが強い反面、どうしても意思決定や開発スピードがゆっくりになりがちという指摘がたまにありますよね。 ヒョンデはグローバル市場の変化に合わせて、次々と新技術を実用化・市場投入していく力があり、そのスピード感は日本企業にとって大きな学びになるでしょう。もちろん、安全性や品質はおろそかにできませんが、モビリティや環境技術の分野では「誰が一番早く市場に出せるか」が競争力を左右する時代です。 この点で、ヒョンデのように大胆に投資して、市場の反応を見ながら改善を重ねるアプローチが参考になるかもしれません。オープンイノベーションの活用ヒョンデは外部との連携も積極的に行っています。 スタートアップとの協業や、海外のテック企業とのパートナーシップなどを通じて、新しい技術やビジネスモデルを取り入れる姿勢を持っています。 日本企業は自社完結型の開発文化が根強く、社内にリソースを抱えがちですが、グローバル化が進む中ではオープンなイノベーションが重要になっています。日本企業も近年はスタートアップとの協業やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の設立などが増えてきましたが、ヒョンデのようにスピーディーに外部のアイデアを取り込んで製品化するフレキシビリティは、さらに注目して良い点だと思います。政府との連携によるインフラ整備ヒョンデは韓国政府と連携し、水素ステーションやEV充電インフラの整備を推進しています。 日本でも政府が水素社会やEV普及を掲げてはいますが、インフラ整備の実効性やスピードが追いついていないと言われることがあります。 政府との協調や、自治体を巻き込んだ地域レベルでの実証実験など、もっと広い視野でのインフラ整備が必要になってくるでしょう。もちろん、日本企業が単独で政府の方針を動かすのは難しい面もありますが、業界団体や他社との共同プロジェクトを通して、政策提言やインフラ開発に積極的に関わることが重要かもしれません。ブランドイメージとサステナ性の融合ヒョンデは近年、ブランド刷新にも力を入れています。 「モダン・プレミアム」と呼ばれるコンセプトを打ち出し、品質とデザイン、環境配慮をうまく融合させている印象があります。 日本企業も環境に配慮した製品をつくるだけでなく、その取り組みを魅力的に発信するブランド戦略をより強化していく必要があるでしょう。消費者が商品を購入するとき、環境に配慮されているかどうかも重要ですが、デザインやブランドの雰囲気も大きな購入要因になります。 「環境にいいから妥協して買う」ではなく、「環境にもいいし、カッコいいから買う」ものを提供できれば、より多くのファンを獲得できるはずです。 その点、ヒョンデが行っている積極的なグローバル広告展開やSNSでの発信は、日本企業が学べるところが多いです。今後の展望最後に、ヒョンデの今後の展望と、私たち一般消費者が注目すべきポイントをまとめてみます。EV・FCEVラインナップのさらなる拡大ヒョンデは既にEVやFCEVにおいて数多くのモデルを展開していますが、今後さらに拡充していく計画があります。 高級ブランドのジェネシスからもEVモデルが登場しており、消費者の選択肢は増え続けるでしょう。 また、ヒョンデグループとして、起亜やジェネシスとのプラットフォーム共有を進めることで、コスト削減と多彩なモデル展開を両立しようとしています。将来的には、超高速充電技術の導入や、バッテリーの軽量化・長寿命化なども見込まれていますので、「電気自動車は充電が面倒」という声も少しずつ解消される可能性があります。 水素燃料電池車に関しても、耐久性の向上と燃料電池システムの低価格化が進めば、商用車やバスなどの大型車両で普及が進むかもしれません。スマートシティ実現への貢献モビリティと都市インフラを連携させるスマートシティの実現は、世界中の都市が抱える大きなテーマです。 ヒョンデが進めるV2G(Vehicle-to-Grid)や自動運転技術などは、街全体のCO2排出量削減、交通渋滞の解消、安全性の向上など、多くの社会課題を解決する可能性を持っています。今後は自動車単体の進化だけでなく、街づくりやエネルギー分野の企業、官公庁との連携がカギを握るでしょう。 ヒョンデとしても、世界各地でパートナーシップを組み、スマートシティの実証実験を推進していくはずです。グローバル競争の激化と差別化環境性能の高いクルマを求める声は世界的に強まっていますが、その分自動車メーカー間の競争も激しくなってきました。 テスラや欧州勢、中国メーカーなどもEV市場で存在感を増し、競争はますます加速しています。 ヒョンデがその中で勝ち残るには、価格競争力だけでなく、デザインやブランドイメージ、技術力、インフラとの連携など、総合的に高いレベルが求められます。また、中国やインドといった巨大市場においても、EVの需要が急速に高まる見込みです。 ヒョンデはこうした新興市場での展開を強化することで、さらなる成長を目指すでしょう。 私たちにとっては、ますます魅力的な環境配慮型の製品が手に入るようになる一方、グローバル企業間の競争が激化することで、どんなイノベーションが生まれるのか注目ですね。一般消費者の目線で考える必要性最後に私たちが意識したいのは、企業の取り組みを「消費者としてどう評価し、どう選択するか」です。 EVやFCEVを選ぶことが直接CO2削減に繋がり、環境保全に貢献する可能性があります。 しかし、冒頭にも述べたようにインフラの問題や価格の高さ、ライフサイクル全体での環境負荷なども考慮すべきです。ヒョンデが掲げるビジョンや技術革新は、私たち消費者にも新しい選択肢をもたらしています。 車を買い替えるタイミングでEVやFCEVを検討する、自治体の取り組みやインフラ整備をウォッチするなど、少しでも自分ごととして考えることで、サステナブルな社会づくりに参画できるでしょう。まとめ今回は、ヒョンデの環境・サステナビリティへの取り組みや課題、そして日本企業が学べるポイントについてご紹介しました。 ヒョンデはEVや水素燃料電池車をはじめとする先進技術に積極投資し、生産工程やサプライチェーンの環境負荷低減にも本腰を入れています。 一方で、インフラ整備やサプライチェーン上の人権・環境問題など、まだまだ課題も山積みです。日本企業が学べることとしては、スピード感のある技術開発やオープンイノベーションの活用、政府との連携によるインフラ整備、そしてブランドイメージとサステナビリティの融合が挙げられます。 競争が激化する中でも、持続可能な未来のモビリティをどう実現するかが大きなテーマになっています。私たち一般消費者も、環境に配慮した製品やサービスを選ぶことで、社会全体の変化を後押しすることができます。 今後もヒョンデをはじめ各社がどのように競い合いながら地球環境を守る技術を進化させていくのか、注目していきたいですね。最後までご覧いただき、ありがとうございました! サステナ編集部でした!