GXリーグ概要前提知識:カーボンニュートラルとは排出されたCO2や温室効果ガス(カーボン)をできるだけ削減し、削減しきれなかった分を森林の吸収分と相殺し、実質排出量ゼロを実現することを指す。GXとは「GX」とは「グリーントランスフォーメーション」の略であり、環境を表す「グリーン」と、変革を表す「トランスフォーメーション」が組み合わさった造語である。2050年カーボンニュートラルや、2030年の国としての温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を経済の成長の機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に向けて、経済社会システム全体の変革をGXと表現する。GXリーグとは「GXリーグ」とは、GXに取り組む企業が、同じくGXの取り組みをおこなっている官公庁・大学とともに、経済社会システムの変革や新たな市場をつくるための実践をおこなう場である。GXリーグは「リーダーシップ」をコンセプトとし、2050年のあるべき社会・企業像の実現をリードする未来企業の集合体を組成することを目標としている。また、GXに自発的に取り組んでいる企業がCO2排出削減に貢献しつつ、外部から正当に評価され、成長できる社会(経済と環境や社会の好循環)を目指している。https://netzeronow.jp/gx-league/設立の意義 日本は2020 年 10 月に「2050 年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言するとともに、 2021 年 4 月には、2030 年度の新たな温室効果ガス排出削減目標として、2013 年度から 46%削減す ることを目指し、さらに 50%の高みに向けて挑戦を続けるとの新たな方針を示している。日本がカーボンニュートラルを実現し、さらに世界全体のカーボンニュートラル実現にも貢献 しながら、そのための対応を成長の機会として捉え、産業競争力を高めていくためには、カーボン ニュートラルにいち早く移行するための挑戦を行い、国際ビジネスで勝てるような「企業群」が、 自ら以外のステークホルダーも含めた経済社会システム全体の変革(GX:グリーントランスフォー メーション)を牽引していくことが重要である。そのため、GX に積極的に取り組む「企業群」が、官・学・金で GX に向けた挑戦を行うプレイヤ ーと共に、一体として経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造のための実践 を行う場として「GX リーグ」を設立する。https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220401001/20220401001-1.pdfGXリーグ目的・基本構想GXリーグを通して下記の3つの取り組みをおこない、新たな市場の創造や経済社会システムの変革、また日本の各企業が国際的にも競争力を発揮できる環境の構築を目指している。未来社会像対話の場:2050年カーボンニュートラルの未来像や移行像を「対話」を通じて創造する市場ルール形成の場:将来の健全な市場を官庁と民間企業で創造する自主的な排出量取引の場:GX投資やCO2排出量削減を社会に開示する対話の場(1)とルール形成の場(2)はお互いにニーズとアイデアを共有し、新たな市場の創造に向けて連携をおこなう。取引の場(3)は(1)と(2)の議論に対する足元の実践活動とし、企業が情報開示によって外部からの評価を得るための取り組みである。排出権の取引方法GX-ETS設立の背景日本全体のGXを牽引するGXリーグのコンセプトや、2050CNに向けた経済合理的なGX投 資促進、産業・企業間の公平性、国際的潮流、成長志向型のカーボンプライシング政策等の観点から、GXリーグにおける排出量取引(GX-ETS)の設計を検討東京証券取引所をプラットフォームとしてカーボンクレジットの売買を実現する構想排出量の定義NDC(URL参照)水準を基に排出目標を設定(基準設定の詳細はvol.2を参照)し、排出実績との差分にて”超過削減枠”及び”目標未達分”の排出量を定義する。https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/ndc.html炭素価格の形成方法”超過削減枠”及び”目標未達分”を東証内部に形成したカーボン・クレジット市場にて売買し、取引価格を公示することにより炭素価格(市場価格)を形成していく(上限価格・下限価格などの詳細はvol.3を参照)。取り組みスケジュールGXリーグのスケジュール2023年4月末へ向けてGXリーグ参画企業を募集。その後参画企業の取組要件を策定し、市場形成に向けたガバナンス設計を有識者と共に議論していく。GX-ETS(排出量取引)のスケジュール2026年以降の取引市場本格稼働へ向けて、2023年度より試行取引を開始する。本格稼働までは削減目標を自主設定し、開示する削減目標達成に向け排出量取引を各自実施することにより、実験的データを収集する。本格稼働後、設定した目標値を民間第三者機関が認証する仕組みを導入予定。まとめ「GXリーグ」とは、GXに取り組む企業が、同じくGXの取り組みをおこなっている官公庁・大学とともに、経済社会システムの変革や新たな市場をつくるための実践をおこなう場である。2026年以降の取引市場本格稼働へ向けて、2023年度より試行取引を開始する。GX-ETS(排出量取引)はまだ検証段階であるが、今後市場が大きくなるにつれ存在意義が増していくことが想定される。