はじめにみなさんこんにちは。サステナ編集部です。春の選抜甲子園も終わり、いよいよプロ野球開幕しましたね!!開幕から3週間ほどたち、各球団が1周りリーグ戦を消化しましたが、NPB(プロ野球)全体でとある異変が起こっています。その異変とは、「ホームランが少なすぎる」「ピッチャーが抑えすぎる」といったもので、オープン戦の頃からボールが飛ばなくなったという声は上がっていたのですが、実際にペナントが開幕して、いよいよ統一球の反発係数がサイレント修正(低く)されたとの意見が多くみられるようになってきましたね。今回は、そういった事象を含みNPBに起きていることや、野球以外に環境面でどういう影響があるのか確かめていきましょう!どれくらいボールが飛ばないのか?セ・リーグのデータを参考に、近年の本塁打数と比べてどれだけ減っているか見てみましょう。現在各球団の消化試合数・本塁打数・年間換算本塁打数・過去3年平均は以下です。セ・リーグ(4/19時点)球団消化試合数本塁打数本塁打数(2024/年間換算)本塁打数(過去3年平均)阪神18107996広島16436103DeNa16547119巨人17867165ヤクルト16763146中日1754267まだ20試合も行われていないので、サンプルとしては弱いですが、全球団が過去3年の本塁打平均と比べて大きく数字を落としていることがわかります。また、2022年3冠王に輝いたヤクルトスワローズの主砲村上選手や、浜風がある中本拠地を甲子園としてルーキーイヤーから3年連続20本塁打を記録している佐藤輝明選手も、インタビューの中では「ボールが飛ばなくなっている」「もっと飛んだと思いました」のようなコメントを残しており、現在セ・リーグ首位を走る中日ドラゴンズの立浪和義監督も、オープン戦時点でボールの変更について言及していました。また、各球団の選手会に対しては、ボールの変更に関して現時点での説明はされていないようです。2011-2012年 過去の統一球問題について筆者は、過去にNPBが統一球に関して通っている問題があるため、果たして同じように説明なしのボール変更はさすがに行われないだろうという考えがあります。2011-2012年で統一球として反発係数の低いボールを導入した経緯は以下です。2011年から2012年のシーズンでは、ホームランの数が大幅に減少し、完封試合が増加し、投手優位の傾向が顕著になりました。統一球の導入が明らかに影響を与えており、多くの打者が成績が落ちる結果となりました。さらに、2012年のメジャーリーグとの親善試合では、統一球がメジャーリーグのボールよりも飛ばないことが確認されました。また、WBCで使用される球とも規格が異なることが判明し、選手会からは統一球の検証を求める声が上がりました。この時点で、統一球の導入は失敗だったと結論付けられますが、この問題が「問題」とされたのは、その後のNPBの対応にあります。2013年シーズンが開幕すると、前年までの投手優位の状況が一変し、ボールが飛ぶ状態になりました。NPBは選手会に対して「ボールの仕様は変えていない」と説明していましたが、実際には異なっていました。2013年6月、NPBは記者会見を開き、統一球の反発係数が基準値を下回っていたこと、そして2013年からボールの仕様を変更したことを認めました。NPBは選手会への虚偽の説明だけでなく、ボールメーカーのミズノ社に対しても使用ボールの変更を隠すよう働きかけていました。統一球は多くの選手のプレースタイルに影響を与える問題であり、その隠蔽を試みたNPBには批判が集まりました。最終的には加藤コミッショナー(当時)が辞任する事態に至りました。飛ばないボールによる様々な影響さて、現時点では疑惑ではあるものの、サステナブルトゥデイ恒例の、環境に対する影響を考えていきましょう。過去に高校野球のバット変更に関しても記事を書いているので、興味がある方は合わせて読んでみてくださいね。【話題の高校野球新基準バットが環境に及ぼす影響 はこちら】https://sa-today.jp/articles/new-modelbat試合時間短縮による電力消費量の削減2023年シーズンの平均試合時間は3時間7分です。プロ野球では、平日はナイターゲームが行われるため、打低になればなるほど試合時間が短くなり、ナイター設備の稼働時間や球場で消費する電力量は削減されます。横浜スタジアムなど、再エネ100%導入されている球場を除けば、発電に係るCO2排出量も削減することに繋がりますね。各プロ野球球場の環境配慮については以下をご覧ください。【セ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-central【パ・リーグ編 はこちら】https://sa-today.jp/articles/npb-esg-pacific選手のケガ率低下こちらは高校野球のバット規格変更とも通ずる部分はありますが、ボールの反発係数が下がれば、ピッチャー・サード・ファーストのような強烈な打球が襲い掛かってくるポジションの選手がケガするケースは減ります。製造工程の変化による設備投資・CO2排出量の増減ボールの反発係数が変わるということは、マテリアル・製造工場の工程・設備に何かしら変更があると考えてもおかしくありません。あるいは、逆の考え方で、設備コストや製造工程におけるCO2排出量を下げようと努力した結果、知らないうちに反発係数が下がってしまったということも考えられなくないですが、ボールの製造に関して素人の筆者が妄想で語りすぎるのは良くないのでこの辺にしておきたいと思います・・・さいごにいかがだったでしょうか!野球の成績で給料が大きく変わる選手にとっては非常にセンシティブなボールの仕様ですが、良い面も悪い面もあると思います。しかし、変わったなら変わったという声明は球団側へ伝わる形にしないと、査定時に打者が不利な形になってしまいますので、そういったところで公平性を保つために透明性のあるNPB運営が行われるように期待したいところですね!